斜め上の雲 23

若者たち




 秋が深みはじめたある日、世実は華秉が勉強をおえたころを見はからってたずねてきて、
「相談があるんだが」
 と、もちかけた。
「ウリナラは民主主義を推進しているが、歴史をかんがみればどうなんだろう」
 と華秉にいった。
 華秉は、くびをかしげた。学校の授業以外で朝鮮半島の歴史というものをふかく追求したことがない。
「教科書にはのってなかったな」
 と、華秉はいった。華秉にいわせると、いまの教科書にのっている歴史というものは砂か真水のようで、要するに味気がない。優秀な民族であるウリミンジョクにはそれにふさわしい雄大な歴史があるはずだし、それを解きあかして民族の精気を振興するのが学者の役目である。
「そのへんが不足しているんだろうな」
 と、華秉はいった。
 それをきいて世実はみるみる顔をキムチ色にし、とうとうと弁じはじめた。
「やはり華秉もそう思うか。優秀な韓民族にはそれにみあった優秀な歴史が存在するはずだ。それを解明する学者をさまたげる邪魔物があるんだ」
「邪魔物とは、なんだ」
「日帝の教育を受けてそだった歴史学者どもだ」
 と、世実はいった。
 今の歴史学界の重鎮たちは、日帝強占下で教育を受けたため、韓民族を否定的にみる奴隷根性がすりこまれているという。
「いやしい事大根性で韓民族を卑下する獅子身中の虫というものだ。このことをおもうとかんしゃくおこる気持になって及びそうだ」
「されば、その研究をやって旧弊をうちやぶってやればよかろうが」
 と華秉がいうと、世実はにがい顔をした。かれの追求力や粘着力はすぐれているが、考えを結晶化させる力が乏しいと自覚している。大学へ行ってその研究に取りくんだところで奸人どもの跳梁するこの分野でどれほどのことができるか、というのである。

 語りあっているうちに、世実が急に、
「華秉、顔色のすぐれぬのはどうしたわけだ」
 ときいた。
 華秉は、苦笑し、
「じつは、ウリもな」
 なやんでいるんだ、といった。
 華秉のばあい、世実とちがって環境についての悩みであった。
 かれの養父金源五は銀行の支店長をつとめ、この時期は頭取になっていたが、盧泰愚政権がすすめていた「五共清算」という全斗煥時代の不正の追求によって全の親族や財閥オーナーら四十七人が逮捕、二十九人が在宅起訴される事態の巻き添えをくらって職を追われ、その打撃によって床に伏せる日が続くようになったのである。収入はとだえ治療費だけがかさんでいった。
 かつて華秉をすくった兄の錫元にはもうたよれない。錫元は一家をかまえており、しかも子供が多いうえに妻の文春香の実家にも送金している。むろん軍事研究にも私費を投じておりとても余裕はない。
 しかし、韓国はすでに高学歴社会に入っている。大学を出ていなければまっとうな――あくまでも韓国社会での価値観ではあるのだが――職につけるものではない。
 となると、結局、学費無用の学校にゆくしか解決するみちはない。むろんそんなものは一つしかない。

「しかし考えてみれば」
 と、華秉は急に話題をかえる気配を示したが、そのままだまってしまった。
 世実はしばらく華秉のつぎの言葉を待ったが、やがて問いかえした。
「なんのことだ、しかし考えてみれば、とは?」
「いや、な。つまり、考えてみれば、決まりきったみちにとらわれることはないということさ」
「なにを言いだしたのだ」
「ウリはな」
 と、華秉はいった。
「世実とおなじで、うまれたからにはウリナラーになりたい」
「たれでもだ」
 と、世実はいった。ウリナラーとは聞きなれない言葉であるが、世実の口調から察するとどうやら韓国を誇らしくする人をさすらしい。何ごとにも序列を好み「世界第○位」「世界初の○○」「○○先進国」「○○宗主国」といった看板や文句に対して執着し自国を誇示する病弊のあらわれの一種なのであろう。

「しかし、今ある学問分野や職ではむずかしい」
 と、華秉はいった。
「そりゃそうだろう」
「国土や学問が日帝に破壊されていた光復直後、まともな学者がほとんどいなかったころでこそ、希少価値があって出世も立身もできた」
「なるほど」
 世実は、大まじめな顔でうなずいた。
 そのとおりだとおもった。一つの学問を拓くにしても、草創期の連中はとくであり、その学問を外国からもってかえっただけでもウリナラいちの権威になれた。
「たとえば錫元兄上さまでもそうだ」
 錫元は、韓国に軍事研究学がなかったころにその学問を拓いた。権威として安住するのではなく、今も第一線でその学問に没頭している。

「ウリたちは遅くうまれすぎたのだ」
 と、世実はいった。
「しかし、先人のやらぬ分野がまだあるはずだ。それが既存の学問のわくに入らないものであっても」
 と、華秉はいう。
「たとえば、世実のいう歴史研究にしても、現在の学界には欠けているものがあるではないか」
 民主主義の観点からの歴史研究がそれだ、という。民主主義じたいがこれまで存在しなかったため、それにもとづいた研究もあるはずがない。
「しかし、ウリには考えを結晶化させる力が……」
「しかしもなにもない。民主化運動すら参加できなかったウリたちは道なきところに道をひらくしかない。できるできないは二のつぎだ」
 華秉は、まくしたてるようにいった。
「ならば、華秉はどうするのだ。なにかあたらしい道はあるのか」
 熱気にあてられて首筋までキムチ色にした世実がきいた。
「あるとも。兄上さまとちがって韓民族が真に自立できる道をさがすために軍事研究をやる」
「軍事研究?」
「そうだ。ウリは大学にはゆけない。養父上さまにはもう学資をたよれないのだ。学費のかからない学校といえば士官学校しかない」
 しかも華秉は視力がよくなく船酔いするたちであったため、陸軍をえらぶしかない。その答えに、世実はそっと下をむいた。
「世実、きみは学問で韓国の発展する道をさがしてくれ。ウリは軍事でそれをさがす」
 ふたりの目に、おもわず涙がにじんだ。


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よみ「前回からの流れで、金華秉と韓世実の青春が題材ですね」

じじぃ「うむ。元ネタはやはり1巻「七変人」、大学予備門の真之と子規が悩むところじゃ。以下原文じゃ」

 秋が深みはじめたある夜、子規は真之がその夜の勉強をおえたころを見はからって、
「相談があるんぞな」
 と、もちかけた。その一件である。
あしヽヽの頭は、哲学にむいとるか」
 と真之にいった。
 真之は、くびをかしげた。ものごとの追求力は、子規は常人よりすぐれている。
「しかし、考えを結晶させる力が乏しいようだな」
 と、真之はいった。真之にいわせると、「考え」というものは液体か気体で、要するにとりとめがない。その液体か気体に論理という強力な触媒をあたえて固体にし、しかも結晶化する力が、思想家、哲学者といわれる者の力である。その力がなければ、その方面にはすすめない。
「それが弱そうじゃな」
 と、真之はいった。
 それをきいて子規はみるみる顔を赤くし、自己弁護をはじめた。
「弱いのではない。あしの胸中には、結晶化をさまたげる邪魔物があるのじゃ」
「邪魔物とは、なんぞ」
「文芸じゃが」
 と、子規はいった。
 文芸とは、哲学とはおよそ両立しがたい精神の作用で、せっかく結晶しようという考えが、文芸によってさっと流されてしまう。
「詩歌小説というものじゃ。もはやいまでは小説なくては夜もあけぬような気持になっている」
「されば、それをやればよかろうが」
 と真之がいうと、子規はにがい顔をした。子規は旧藩主の好意でできた常盤会の給費を受けている。常盤会は、ゆくゆく大臣参議か博士になるような子弟のために金を出しているのであり、給費生が、詩人歌人あるいは小説家づれになることを好まないであろう。
 子規がそれをいうと、真之が、
「俗なことをいうな」
 と、大声を出した。子規もわれながら俗なことをいったとおもったのか、いよいよ顔を赤くした。

 語りあっているうちに、子規が急に、
「淳さん、顔色のすぐれぬのはどうしたわけかねや」
 と、伊予弁できいた。
 真之は、苦笑し、
「じつは、あしヽヽもな」
 なやんどるのよ、といった。
 真之もよく似た悩みで、大学予備門にすすんだものの、このままでいいのか、ということであった。

(中略)

「金のことを考えるまに、すこし利口なことでも考えろ」
 というにきまっていた。
 これが、真之の悩みの最大課題である。結局、学費無用の学校にゆきさえすれば即座に解決することであった。

(中略)

「このまま大学へ行っても」
 と、真之は急に話題をかえる気配を示したが、そのままだまってしまった。
 子規はしばらく真之のつぎの言葉を待ったが、やがて問いかえした。
「なんのことだ、このまま大学へ行っても、とは?」
「いや、な。つまり、考えてみれば、このまま大学へ行って学士になっても、たいしたことはないということさ」
「なにを言いだしたのだ」
「おれはな」
 と、真之はいった。
「升さんとおなじで、うまれたからには日本一になりたい」
「たれでもだ」
 と、子規はいった。それが国家草創期におけるえらばれた青年たちの共通のねがいであろう。この点、子規は哲学青年兼文学青年であっても、時代の子であるだけにその志向はひどく陽気で、懐疑も皮肉も屈折も感じていない。なにしろ「朝ニアッテハ太政大臣、野ニアッテハ国会議長」とおもって東京に出てきた青年なのである。
「年々、学士がふえてくる」
 と、真之はいった。
「そりゃふえるだろう」
「学士なんざ、めずらしがられているころでこそ、工科の学士は卒業早々に鉄橋を架けたり、医科の学士はすぐさま病院長になったりしたが、これからはそうはいかぬ」
「なるほど」
 子規は、大まじめな顔でうなずいた。
 そのとおりだとおもった。一つの学問を拓くにしても、草創期の連中はとくであり、その学問を外国からもってかえるだけでそのまま日本一の権威になれる。
「たとえば加藤さんや山川さんでもそうだ」
 加藤さんとは、いま大学の総理に任じている加藤弘之のことである。但馬出石藩の出身で、はじめ蘭学をまなび、蘭学をもって幕府につかえ、蕃書取調所の助教になった。ところが、時勢をどう見ぬいたのか、幕末の騒乱期にドイツ語を独習した。当時、ドイツ語などをまなぶ者は加藤弘之ひとりであった。維新後蘭学がすたるや、わが国ドイツ学の唯一の権威として尊ばれ、新政府に召され、さらにドイツ哲学の最初の輸入者になった。
 教授の山川健次郎にしてもそうであった。会津藩士の家にうまれ、会津若松の落城直後、のまず食わずで東京へ出、やがて渡米し、苦学して物理学をまなんだ。
「われわれは遅くうまれすぎたのだ」
 と、子規はいった。
「しかし、かれら先人のやらぬ分野がまだあるはずだがな。それが学問でなかっても」
 と、子規はいう。

くるみ「ねぇ、ベッキー、ひとつ訊いていい?」

ベッキー「なんだ?」

くるみ「この『ウリナラー』っていったい何?」

ベッキー「ああ、それか。ぶっちゃけた話、誤読から生じた言葉だ」

芹沢「は?」

ベッキー「本当は『ウリナラいち』だったんだが、掲示板掲載時に、トピ主の蓋世さんが読み違えて、しかもうけてしまったたというのが発端なんだ」

Re: 斜め上の雲 77

>ウリナラー

  ↑ここにはまりました(おおわらい


ちよ「それを受けて、ヘイルマリーさんが、半分真相を知りつつもネタをかぶせてきたんです」

Re: 斜め上の雲 77

>>ウリナラー

>  ↑ここにはまりました(おおわらい

アムラーとかベムラーとか、
騒音怪獣 ノイズラーとか変形怪獣 ズルズラー
といったモノの仲間ニカ?


ベッキー「で、作者も『ウリナラー』のほうがおもしろいのでそっちに換えてまえ!と改変したわけだ」

よみ「『メメクラゲ』と同じ展開なんですね」

くるみ「なに?その『メメクラゲ』って?」

ちよ「つげ義春の名作マンガ『ねじ式』に出てくるクラゲですよ。つげ義春は伏字扱いの「××クラゲ」と書いたんですが、写植の際に編集者が「メメクラゲ」だと思い込んで換えてしまった、ということです。かなり有名な話です」

芹沢「『ウリナラー』か。ヘイルマリーさんのおっしゃるように、なんだか怪獣っぽくていい響きだな」

ベッキー「作者はけっこう気に入っているぞ。で、改変前の本文はこうだった」


「世実とおなじで、うまれたからにはウリナラ一になりたい」
「たれでもだ」
 と、世実はいった。それが韓民族の共通のねがいであろう。ひるがえっていえば、これは、「世界第○位」「世界初の○○」「○○先進国」「○○宗主国」といった看板や文句に対して病的に執着するのと同根なのであろう。


くるみ「そうだ、もう一つしつもーん。世実の台詞で『このことをおもうとかんしゃくおこる気持になって及びそうだ』ってあるけど、何この日本語?」

ベッキー「それはだな、ネイバーでよく見られる韓国人の機械翻訳を通した日本語が元ネタなんだ」

よみ「『ネイバー』って、現在の『エンジョイコリア』のことですね。機械翻訳によって日韓交流ができるという日韓翻訳掲示板の」

ベッキー「そうだ。2005年の夏から『エンジョイコリア』通称『エンコリ』なんだが、今でも慣習的に『ネイバー』と言っても通じるがな」

芹沢「機械翻訳ってのは、どの程度信用できるんだ?討論以前に話が成り立たないと意味がないと思うんだけど」

ちよ「かつては翻訳率がそうよくなかったのですが、最近ではかなり改善されているので、普通の状態での話ならほぼ心配ないです」

芹沢「普通の状態なら?どうゆうこと?」

くるみ「向こうには普通でない状態って存在するでしょ。ほら火病よ。ファビョるとハングルを正書法で書けなくなって投稿するものだから、まったく翻訳されず音だけを直訳したカタカナが並ぶだけの意味不明文章になるのよ」

ベッキー「俗語や翻訳ソフトが対応していない新語なら翻訳できないのも仕方ないんだが、ハングルの正書法がただでさえ混乱しつつあるというからなぁ。
 まぁ、未翻訳の割合によって、相手がどの程度ファビョっているかのバロメーターになる、という副産物もあるのだが」

ちよ「有名な例では、朝鮮語で『及ぶ』と『狂う』はともに『미치다(ミヂダ)』ですので、向こうが『お前は狂ったか!』と罵倒したつもりが『お前及んだの!』なんて変換されることがあるんです」

よみ「へー。他にはどんなのがあるんだ?」

ちよ「そうですね。エンコリにかぎらず、韓国語の新聞を自動翻訳して読むときによく見られるのは、『はまる』と『抜ける』が同じ『빠지다(パヂダ)』ですので『韓流にはまった』という意味で書いたのが『寒流に抜けた』と訳されますね」

芹沢「えっ?『韓流』が『寒流』って日本人のシャレじゃなかったのかよ!」

ベッキー「ギャグでもなんでもなく、そう訳されるんだ。漢語の場合、どうしても同音語に誤訳することが多くなるんだが、有名なのは『朝鮮:조전(チョソン)』を『造船』、『主権:수권(スクォン)』を『株券』『歴史:역사(ヨクサ)』を『駅舎』、『神社:신사(シンサ)』を『紳士』ってやつだな。翻訳ソフトによって個体差もあるんだが」

よみ「あ、それで『靖国神社参拝』を『靖国ジェントルマン神もうで』なんて訳が出てくるんだ」

ベッキー「そういうことだ。あと『麻生 太郎 外相:아소 다로 외상』が『分かりなさい 茶炉 帳付け』になるというのが頻出するな。作者が最近で一番笑ったのは『兵馬俑:병마용(ピョンマヨング)』が『病魔用』となっていたことだ」

芹沢「機械のほうはわざと誤訳しているわけじゃないんだもんな。やっぱ天然芸には勝てないぜ」

ベッキー「作者はこういう直訳調のヘンな日本語を見ると、PC98版の初代『Wizardry』を思い出すそうだ」

よみ「石の中にテレポートしてしまったり、死亡したキャラの蘇生に失敗すると灰になるやつですね」

ベッキー「そうだ。『Ultima』と並んでPCのRPG黎明期の傑作のひとつだな。アメリカ産だが、日本に移植する際、直訳調の怪しげなテキストがふんだんに盛り込まれていたんだ」

よみ「で、話を戻しますと、韓国の誤訳は、やっぱり漢字を排したせいなんでしょ?」

ちよ「そういうことになりますね。漢字を使っていれば防げる誤訳がほとんどですし」

くるみ「でもさ、半島のニュースって、マジでむかつくしかない記事も多いんだし、こういった誤訳なんかにささやかな笑いがないと救われないときもあるのよね。ちなみに放火と防火が同じ방화(パンファ)っていうのは、かなり深い意味のありそうな感じがしていいわね」

芹沢「放火と防火が同じなんて悪い冗談みたいだな」

くるみ「他人に放火される前に放火しろ、ってのが半島の防火なのよ♪先んずれば人を制すってやつよ♪」

ちよ「同音異義語なら『最高』『最古』が同じ최고(チェゴ)というのもありますね」

ベッキー「くるみ、お前ほんっとにヤな楽しみ方をおぼえたな。ま、見当違いの反日記事・評論は、常にどこかに出ているような印象すらあるからなぁ。そういったところに笑いを求めたくもなる」

よみ「本文中でウリナラ歴史学がどうとか少し書いてありますが、ここではやらないんですか?」

ベッキー「うん。今ここで触れるつもりはないんだ。掲示板にすら掲載していない(2006年10月現在)かなり先の回でやることが決定しているんだよ」

くるみ「えー、また大きくぶち上げたわね。予定を言うだけなら、韓国は10年後に日本を抜いて世界の強国になっているとか、ヒュンデーが世界一の自動車会社になるとか、なんでも言えるって☆」

(前略)要するに寺尾(作者註:北朝鮮を礼賛しまくって在日の帰国事業をあおった寺尾五郎日朝協会理事。じつは日本共産党員で宮本顕治の秘書もしていたことがある)は、いまは物質的に遅れてはいても、「北」のように精神的に進んだ社会は、物質面でも急速に追いつき追い越すことができると言いたいのだ。そして金日成首相の導く「千里馬運動」で「北」は第一次五カ年計画が終了する六一年には一人当たり生産額で日本を追い抜くから、「日本が東洋一の工業国を自負していられるのは、せいぜい今年(作者註:1959年)か来年のうちだけである」と断言し、「ソ連はアメリカを追い越し、中国は英国を追い越し、朝鮮はその北半部だけで日本を追い越すとしたら、世界はどう変るであろうか」と壮大な夢想に耽る。

「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任 稲垣武 文藝春秋

ベッキー「ふ。作者は韓国人でもなければ進歩的知識人でもないぞ。第116話から第127話を使って日韓の歴史論争を題材にした本文が、2006年7月に完成済みだ!」

芹沢「マジかよ!」

ちよ「今は、解説パートの推敲をしつつ、掲示板版とサイト版でどう内容を変えるかについても調整中です」

くるみ「え?掲示板に載せた解説をそのまま私たちの台詞に割り振って移植して適当に編集しているだけじゃないの?」

ベッキー「それでは、ここのサイトがただの物置になるだけだろ。同じものを2度出すようでは、掲示板も見た上でここまで来てくださる方に対して申し訳ない。
 それに、作者が単に書いているだけという掲示板での解説パートを、画像、リンクを駆使できるここにそのまま載せたってあまり意味がないしな。だから、私たちが出演するスタイルをとって、掲示板では載せられなかった資史料を掲載し、より充実したものを用意しようとしているんだ」

よみ「そう言えば、サイトまで来てくださった方には『特典』を、って『チャングムの戦い 北の国から来た使い』解説パートでも言ってましたね」

ちよ「少しでも内容を充実させようとする中で、いろんな史料や解釈に出会いましたし、直接ここには使えなくても別の場所で活きてくるものもありました。
 なによりも、その過程の中で、作者が自分自身の肥やしとなるような思考訓練や史料読解の訓練といった研鑽ができたというのが最大の収穫でしょうね」

芹沢「私たちを使ったコントを考えているだけじゃなかったんだな」

よみ「本文の流れに話を戻しますと、結局学費に困窮する事態になった華秉は兄同様に軍へ進むしかなくなったんですね」

くるみ「この辺の展開も『坂の上の雲』のパロディよね」

ベッキー「当初、作者はどんな理由によって華秉を軍に進ませるか悩み続けたんだ。結局無理やり養家を窮状にして、学費がない、という展開にしたんだが」

ちよ「次回は華秉の士官学校、世実の大学時代の話です」

よみ「時代は1990年代初頭か」

くるみ「韓国が調子こいてきはじめたころよ」

芹沢「日本じゃバブルがはじけたころだな」

ベッキー「ああ、『韓国ってなんかおかしくないか?』という人が、ほんのちょっぴり出はじめたころでもあるな。次回は長くなる予定なので、今回はここまでにしておこう」


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