あずまんが嫌論文 2
「今回は誰を取り上げるんですか?」 「朝鮮王朝社会と儒教」李泰鎮 六反田豊訳 財団法人法政大学出版局
「二百年経っても水車をつくれていないってのは、ほんとなのか?」
「この世宗マンセー、ウリナラホルホル記述は何なの?」
「鳥銃って火縄銃のことだよな。朝鮮にはなかったのか?」
「銀の精錬について日本の灰吹法は朝鮮ではなく明から伝わったものです。博多の豪商神谷寿禎が明人を招いて持ち込ませたことが神谷家の文書に書かれていますし、その記述の信憑性は高いと確認されてもいます」
「作者が、ある意味一番笑うポイントだと思っているのが、このあとがきだ」
「うん。作者が『嫌論文』というものにふれるきっかけとなった李泰鎮の本だ」
「げ、そんなもの、いつの間に触れたの?」
「2006年の秋に図書館で李の本を見かけたのがきっかけだそうだ」
「で、嫌論文の世界に本格的に取りくんでゆくことになったわけだな」
「はい。それでは、ツッコミも入れながら紹介してゆきます」
「はい。『チャングムの戦い イルボン道中ニダ栗毛』でもネタにしていますが、18世紀になってもつくれていません」
「干上がった溜め池の底を耕作地にして、水が溜まってくると堤防を壊して水を抜くってのもむちゃくちゃだな」
「溜め池って何のためにあるのかしらねぇ。本末転倒のバカよ♪」
エンコリ jpn1_rok0氏のスレ
李泰鎮・・・バカですね・・・世宗、バカですね・・・( ´H`)y-~~
「2本目も農業政策がネタだ」
「ああ。屁理屈をこね回して世宗の農業政策などを評価しようとしているが、これほどムダ且つ非学問的な理屈も珍しいな」
「努力したことに意義がある、ってオリンピックでもあるまいし」
「jpn1_rok0さんのスレがすべてだよなー」
「努力したことに意義があるとか内在的に発展の萌芽があった、というのは李の得意とする論理のようですね」
「豊臣軍が持ち込んだんだ。それまで朝鮮半島には支那由来の火器はあったんだがな」
「その鳥銃の国産化にすぐ成功したというのはどうなんですか?」
「事実だ。ただし、まともなものでなくてもよい、というのであればの話だがな」
「ともちゃんが突っ込んでいるように、1593年8月、李舜臣が鹵獲した鳥銃を手本にして造らせた鳥銃は、試射の結果、国王宣祖によってダメ出しされています。引き金を引くと瞬時に弾を発射するための発火機のカラクリがうまくいかず、実戦での使用は難しい、とされたそうです」
「昔から劣化コピーはお家芸なのね♪」
「ひどい言い方だな。で、鳥銃の製造はこのようにあまりうまく行ってなかったわけだが、捕虜・降伏してきた日本人の中から、鳥銃や焔硝の製法を知る者、鳥銃の扱いに優れている者を優遇して学び取ろうとしたわけだ」
「そのへんの対応策というか姿勢は評価できますね」
「まぁ、戦中だしな。必死でがんばったこと自体はいいだろうな」
「けっきょく、まともな鳥銃を安定してつくれるようになったのは仁祖の代になってからのことでしょうね」
「そう言えば、サルフの戦い直前に、明将の閲兵を受けたさいに、鳥銃の不良品が多くて叱責を受け、その交換で時間をとられたというのがありましたね」
「そうだったな。あまり重要なネタでもあるまいと思って『三田渡への道』ではふれていなかったが」
「作者程度の素人でもわかるようなこれらの細かい史実を無視して、火器使用の伝統的な文化能力の優位とか口走るとはいい度胸じゃねーか」
「ああ。李が、朝鮮が伝授したという記述の註に用いているのは、朝鮮からの伝来を主張している小葉田淳の記述(『國史大事典』所載)なんだが、日本に伝わった技術は明のものと同様で、朝鮮のものとは異なっていることが判明している」
「ってことは、すでに否定されている説に準拠したの?」
「李がこれを書く時点で、小葉田の言説とその妥当性についてどこまで精査したかは知らないがな」
「そういった個々の事象に対する突っ込みの甘さというのは、全編に共通したものなんですね」
「バファリン作戦で露呈したように、李教授はほんとうに現代日本語をきちんと読めるのか疑わしいのですよ。この本の註にも現代日本語で書かれた多くの日本の論文書物を引用しているのですが、妥当な引用・解釈をできているか、作者は疑ってしまわざるをえないとのことです」
「これは誉め殺しですか?」
「善意に取ればゼネラリストだと言っていると思うんだが、けっきょく、個々の事象に対する精査を欠き、その断片的な分析を自分の作りたい体系の中に当てはめていっているだけにしか思えないな」
「トリミング・切り貼り・パッチワーク、みごとな朝鮮論法のオンパレードじゃない♪」
「作者によれば、朝鮮人学者の論文の中では、まだましなほうじゃないか?とのことですよ。この程度なら一度読まれてもいいかもです」
「ちよちゃん、そのお勧めはちょっとどうかと思う…」