朝鮮出身兵取扱教育



ベッキー「今回は朝鮮人兵士の取扱教育についての史料だ」

くるみ「あれ?これ前にやったじゃない。何か修正したの?」

ちよ「はい。アジ歴で内容が同一のものを見つけたのですが、そちらにはページが一枚多かったので、あらためてそちらに準拠してやりなおすということです」

ベッキー「都に資料集を任せることにしたしな。ちょうどいい機会だから都の講義に差し替えようってのもあるんだ。さ、都、たのんだぞ」

都「オッケー、それじゃあらためて、アジア歴史資料センター収録『朝鮮出身兵取扱教育の参考資料送付に関する件陸軍一般へ通牒(レファレンスコードC01007778900)』を解説するわね。画像はいちばん最後にまとめてあげるわ。カタカナをひらがなにして、旧字は新字に、数字はアラビア数字にあらためたわ。まず表書きと表紙」


極秘 陸密第2848号
朝鮮出身兵取扱教育の参考資料送付に関する件陸軍一般へ通牒
昭和18年8月14日  陸軍省副官
昭和18年8月軍師団参謀長等会同の際に於ける兵務局長口演要旨別冊
配布すべきに付き参考とせられ度通牒す


朝鮮出身兵取扱教育の参考

鈴音「おおーっ、極秘だってさー。大日本帝国陸軍の隠された歴史が今明らかに、って感じだよ」

神楽「なんだかすげー文書のにおいがするぜ。どこかの筋から妨害とか入るんじゃねーか?」

都「二人ともはしゃぎすぎよ。朝鮮にも徴兵令を19年度から施行することになったので、それに関連してつくられたマニュアルみたい。次からは本文ね」

1 本参考資料記述の目的は過去数次に亙る朝鮮軍の朝鮮出身特別志願兵教育の経験等に鑑み本次初めて特別志願兵を入営せしむべき諸部隊竝に朝鮮徴兵に伴ふ朝鮮出身者入営諸部隊における之が取扱教育の参考たらしむるに在り

2 本参考資料は当省一部職員の作業にして将来更に増補修正を要すべきも取敢ず印刷配布す

3 本参考資料は独立団隊長以上に於て保管し複写を禁ず

都「朝鮮への徴兵制施行によって朝鮮人兵士が入営してくるけど、その取扱教育について、過去の朝鮮人志願兵を扱った経験に基づいた参考意見を述べるものであり、とりあえず急いで配ったってことね」


全般的事項

一 朝鮮に於ける特別志願兵制及徴兵制の施行は新附の民をして建軍の本義に基づく皇国護持の大任を直接負荷せしむべき皇軍建制上の画期的制度なると共に一視同仁の 聖旨に基く皇民化施策の真髄を具現すべき朝鮮統治の飛躍的事業にして又正に八紘一宇の大理想を顕現せしむべき大東亜民族指導の一環として極めて重要なる意義を有す

二 朝鮮人は其の永年に亙る内外に関聯する特種の政情と祟文卑武の儒教的伝統とにより内地人と相異れる思想及性格を生じ其の資質は皇国臣民としては尚足らざるもの多しと雖も是等しく皇民にして 陛下の赤子たるべきものにして三十余年の統治に依り聖沢弥々民心に潤ひ皇国臣民たらんとするの意慾は澎湃として起こりつつあり
教育指導に任ずるもの須く一視同仁の 聖旨を奉戴し常に同胞として之を八紘一宇の大乗愛に包摂し真に大御稜威を感得し之に帰一せしむるを以て根本の理念とせざるべからず

三 朝鮮人の思想性格の弱点は放縦不羈にして内地人の如き一環せる肇国の本義を基調とする道義観欠如し精神的依拠を有せざるにあり宜しく其の教育指導の基調を精神要素の涵養就中皇民及び皇軍意識の透徹に置かざるべからず即ち民族的対立観を根底より払拭して国家観念特に忠君愛国の精神を啓蒙培養し以て確乎たる日本人的信念を把握せしむると共に建軍の本義特に皇軍軍紀の真髄を了得せしめて軍人たるの資質を完成せしむるに全幅の努力を致さざるべからず
至誠相感応せしむるに於いては皇民及皇軍軍人たるべき資質の陶冶決して難事にあらざるを銘記するを要す

響「ちょっと待って。『聖旨』『陛下』の前に空白があるわよね。これは誤植なの?」

神楽「おおっ、ツッコミが速いぜ。こいつはともよりできるな」

都「ああ、それはわざとだから」

響 神楽「なっ?!」

鈴音「あざやかな肩透かし!」

響「くっ、本来ボケ担当のはずのあんたにそう言われるとは!」

都「画像見てもらえればわかるけど、原史料の段階で空白になっているでしょ」

神楽「え?あ、ほんとだ」

都「天皇、皇室にかかる名詞の前は空けておくのがルールなの。戦前の新聞では『天皇陛下』という文字は必ず改行して段落の一番上に持ってきたらしいわ。そのため新聞社の印刷工場には『天皇陛下』という四字組の特別活字があったという話も聞いたことがあるわ。支那の科挙でもそれに似たルールがあったけどね」

響「科挙って、北周・隋からはじまった官吏登用試験のことね」

都「ええ。何段階か試験があって、最後には皇帝が試験官をするという形式の殿試があるわ。そこでは、皇帝が政策を問うという論述問題があるんだけど、その解答を書く際、上の二字分を空けて書かなきゃいけないの」

鈴音「なんで?」

都「皇帝陛下や、天顔、上諭といった皇帝に直接関係のある言葉を書くときに、畏れ多いので、改行して二字持ち上げて書くためなの。
 また、国家、京師といった皇帝の付属物を書くときは改行、一字持ち上げて書き、皇太后や祖宗といった皇帝の父母祖先を書くときは改行、三字持ち上げて書くの」

神楽「ってことは、改行して二字持ち上げた場合はちょうど行の一番上に来るけど、三字持ち上げたら上にはみだすじゃねーか」

都「皇帝は尊い存在だけど、その皇帝からしても皇帝の父母先祖は敬うべきものでしょ。それであえてさらに持ち上げるっていう理屈ね。これを擡頭っていうの」

響「じゃ、改行はしなくても一字空けるってのはそれと関係あるのね」

都「おそらくその辺のルーツは同じものなんだと思うわよ。なぜか『聖沢』の前は空いていない箇所があるけど、そっちのほうが誤植じゃないかしら」


四 朝鮮出身者に対しては前述の趣旨を基調とし先入主的蔑視感と差別的態度を絶対に避け教育者被教育者共に所謂継母、継子的関係に陥るを戒めざるべからず而して教育実施に方りては朝鮮人の一般的思想、性格の相違点を索求して其の実体を把握するとともに個人的特徴を明確ならしめ而も之に捉はることなく其の資質の不完に対しては同情の念慮を保持し且至らざる子弟を訓化するの骨肉の至情に徹し常に皇民及皇軍軍人たるの感激と誇りとを附与しつつ懇切公平に教導せざるべからず然れども其の性情の特徴に鑑み寛厳宜しきを制し断ずべきは断じ誨ふべきは誨ふるとともに其の長所を活用伸展せしむるに吝かなるべからず
如何なる場合においても競争的対立観を誘起するか如き指導は厳戒を要す

五 朝鮮の歴史、伝統、風俗、習慣、生活様式、一般民度、思想傾向等を正常に理解すると共に学校其の他入隊前における教育の実情を把握しこれを教育指導上に利用すること極めて緊要なり而して之等事項の要点を下級幹部迄徹底せしめ置く事必要なるも此等特質を直ちに内地人的尺度を以て是非し或は先入主及蔑視感となさしめざる如く注意せざるべからず

響「『朝鮮の歴史、伝統、風俗、習慣、生活様式、一般民度、思想傾向等』をきちんと理解しろ、それらを内地人の尺度にあてはめてどうこう言ったり、『先入主的蔑視感』とならないように注意しろ、か」

神楽「具体的にはどういうことだ?」

都「そうね、たとえば、韓国のネット報道に寄せられたこういう投稿があったわ」

内 母方のお婆さんの 経験話に よれば...  問い合わせ53 推薦0 2006/10/15 20:17

pyb26 IP 211.48.xxx.233

私の 母方のお父さんと 母方のお婆さんも 日製 時代 時 食べて 暮すのが ぎりぎりで 日本に 入って行って 使臣 少なく ある.. 名古屋という 所に...

彼 方々 お話 聞いて見れば 日本人たちが 朝鮮 人を 人々 前で 公開的に 目に 見える 差別を する 場合は 別に なかったと する.. するが 内心で 朝鮮人を たいてい 数 下で 扱う 感じは 自主 漂ったと する..

私たち お婆さん 世代は 洗濯を 炊飯に 入れて 煮る 風習が ある.. 母方のお婆さん 家に 遊びに 来た 日本 おばさんらが それを 見たり ' 子供.. ゾセン. どら 汚くて.. 飯をたく やけどする 洗濯を...' して 冷やかしたと する..

それでも 人間的では 善良な 日本人たちが 多かったと する.. しかし 目に 見えるの ない 蔑視は つらい 法.. 解放 後 ところで 帰国した..

鈴音「ご飯釜で洗濯?」

都「おそらく、煮沸洗濯のことでしょうね。煮沸洗濯という行為自体はどうってことないけど、それを飯釜でやるというのは、日本人から見れば不潔にみえたんでしょう」

響「で、そういった慣習を日本人の尺度で『不潔』と断じて蔑視してはならない、っていうのが本文の論旨ね」

都「ええ。それだけ日本軍が気を遣っていたという見方もできるけど、逆に、先入主や蔑視といったものが社会に普遍的に存在していたから、これを禁じる条文を特に入れたのだ、という逆ねじのくわせかたもできるわね」

精神要素の涵養に関する事項

六 朝鮮人の国家観、神観、忠孝観等は儒教的思想を根底とし内地人の夫れとは本質的差異を有し過去の教育に於いても多くは観念の域に留りある程度なるに鑑み単に訓話を以て説示するのみならず皇国及皇軍の精華と特質とを不知不識の間に感得せしむる如く環境を純化し万般の施策をして表裏一貫せしむると共に慈父の大愛を滲透して速かに精神的依拠を与うるの一面厳格なる行的修養と実践履行の中に自ら信念化し性格化せらるる如く指導せざるべからず訓話の実施に方りては歴史的素養及国語の理解力低調なるに鑑み特に懇切平易に説示するを要す


 1 皇室及国体に関する訓話に対しては比較的感激乏しく中には第三者的観点より批判的態度に出づるものなしとせず
 2 朝鮮在来の「神」は所謂鬼神にして恐怖心を有する者多く神に対し親しみ報恩とを感ずること比較的乏し
 3 忠孝観に於て、観念的には「忠孝一致」を理解せしめ得べきも信念の域迄向上せず即ち孝を第一義とし直接的孝養を以て最高の道徳と思惟しあるもの多く、従つて親の事を気に掛くること強く両親の不遇、窮状に際し精神動揺し本務に精進し得ざる事あり

七 性格上の弱点たる事項に関しては教育訓練、内務等を通じ実地において陶治し其の足らざるを深刻に自得せしむること緊要なり而して之が矯正に方りては其の伝統の相異と道徳標準低調なるとにより知らずして犯しある事象多きに鑑み機を失せず端的にこれを指摘して其の非を悟らしむると共に将来に亙り監督を厳ならしめ且気永に教導する事肝要なり この際心情の機微を洞察し卑屈退嬰となさしめざる如く諄々として訓戒するの注意亦必要なり
又一般に模倣性強く教育者の一挙手一投足の微に至る迄模倣しこれ等は直ちに教育の成果に影響すること大なるに鑑み教育者の率先垂範と共に其目的精神を明確ならしめ置くの著意を要す

八 軍紀、服従心の涵養につきては其の本義を十分了得せしめ且恩威併せたる指導を以て真に教育者に傾倒、心服せしむる他面保身的利己観念、面従腹背、附和雷同等の諸性格の真底を看破し些の虚隙なからしむるを要す又礼節に関しては敬上の美点を助長するを要するも形式的に陥らしめざる如く指導すること肝要なり

鈴音「『訓話の実施に方りては歴史的素養及国語の理解力低調なるに鑑み特に懇切平易に説示するを要す』、訓話に使われる日本語や訓話の背景になる歴史について分からないことも多いから、丁寧に易しく言わなきゃダメだぞ、ってことね」

神楽「『皇室及国体に関する訓話に対しては比較的感激乏しく中には第三者的観点より批判的態度に出づるものなしとせず』か。ま、仕方ないよな」

都「ここでいう『鬼神』とは、パンスやムダンといったシャーマンに代表される自然界の精霊や神のことよ。詳しいことはイザベラ・バード『朝鮮紀行』の第三十四章『朝鮮のシャーマニズム』、第三十五章『朝鮮のシャーマニズム(つづき)』を読んだほうがいいわね」

響「朝鮮人が『忠孝一致』じゃなくて、『孝』こそを最高道徳にしているというのはけっこう有名よね」


 服葬のため帰郷した義兵の総大将

 時代が下って、十九世紀末の抗日戦のころになると、こういうことも現れてくる。十三道義兵の総大将に推戴され、一時はソウル近くまで進撃して義兵の信頼を得ていた李麟栄は、抗戦中に老父の訃報に接すると、後事を同志に託して帰郷してしまった。儒教論理に忠実な彼にとって、亡父の喪に服することは、至上の義務であった。
 彼は戦いを続けてほしいと願う同志に対して「国に忠でない者は、親に孝でない。親に孝でない者は、国に忠でない」と言い、三年の喪に服したのち、また義兵に加わり「日本を掃蕩し大韓を回復すれば、これこそ忠孝二道を全うするものではないか」という論理で、説得に応じなかった。家親に対する孝を最高の倫理準則とする彼にとっては、国家の存亡がかかっている対日戦も、緊急度が低かったのである。国のための戦いまでも、二義的なものになってしまっては、勇敢な戦士の意義もまた切り下がらざるをえない。
 そうした李麟栄には厳しい結果がやってくる。父の喪に服したのち戦線に復帰して日本を撃退するという楽観的な彼の目論見は、服葬を終える前に日本軍に逮捕されるという現実(そうした可能性を彼は予想しなかったのであろうか)の前に崩れ去ってしまったのである。

『物語 韓国人』田中明 文春新書


神楽「……家族が重病のために、シーズン途中で緊急帰国する外国人選手、というのとは違って、こっちはしゃれになんねーな」

鈴音「仕事より家族が大切だー!っていっても、そのせいで国が滅びたら、孝行どころの話じゃないと思うんだけどなー」

都「そういうことね。孝行が大切なのはいいんだけど、これでは近代国家はつくれないわ。で、孝よりも国家への忠に最上の価値をもたせる仕掛けが必要なの。
 明治日本の掲げた『忠孝一致』はそのためのものだったのよ。国家への忠=親への孝ということで両者を止揚しようとしたのよ」

響「肉親への孝が大切というなら、国家をひとつの家族に見立てて、天皇を親とすれば、国家への忠はすなわち親への孝となる、というのはどうかしら?」

神楽「おっ、そういえば『陛下の赤子』なんて言葉もあったな。天皇が親で国民は子か」

鈴音「悪い子にはお仕置きチョーップ!!」

響「痛っ!」

都「その考え方の劣化コピーとして、国家を有機的な人体に見立てて、指導者を脳、国民を手足としたのが北朝鮮の主体思想なの。亡命した黄長が主導的につくったものなんだけど、彼って大東亜戦争中は日本の中央大学にいたのよ」

九 責任観念及犠牲的精神の陶治に方りては功利打算的習性より発する短所を深刻に矯正するを要す
これが為外形よりも内実を重視し表裏一貫せる行動に不断の監督を加ふると共に諸勤務服行に方りては特に任務の附与を単一的確ならしめ且実行を確認するの手段を講ずること肝要なり

一〇 現下に於ける朝鮮人の思想的傾向は一般に中正にして大なる考慮の要なきと認めらるるも一部に於ては民族的潜在意識と自由主義的思潮尚底流して敵側の謀略に乗せられ易く就中有識青年の思想的傾向として民族的対立観に陥るものなきを保ち難きものあるを以て之が取扱教育は特に慎重周到なるを要す而してこれに対しては同根同祖の民族として萬邦無比なる吾が国民性に同化し真の日本人たることに於て初めて大東亜の指導者たり得べく而も皇国の繁栄ありて初めて大東亜あるの真義を了得せしむるを要す
其の他反軍、反国体思想の如きも多くは対立思想に関連し感情的なるを以て其の因由する所を探求し思惟の及ばざる所を教示し皇国及皇軍の本義を感佩せしめて訓育陶冶の全きを期すること肝要なり
如何なる場合に於ても独立運動は勿論民族的偏見のごとくは対立思想の萠芽を認めらるる者に対しても断固処断するに躊躇なきを要す

響「『保身的利己観念』『面従腹背』『附和雷同』『功利打算的習性より発する短所』ねぇ」

都「『同根同祖の民族として』というのは『日鮮同祖論』のあらわれね」

鈴音「そういえばさぁ、『天皇は朝鮮半島がルーツ』とか『朝鮮人が日本列島に進出、建設したのが大和朝廷』なんて言う韓国人もいるけど。これの裏返しなんだよね」

神楽「戦前の日本の同祖論が元ネタとは皮肉なもんだな」

内務教育その他に関する事項

一一 朝鮮出身兵を中隊及内務班等に配当するに方りては広く内地兵間に稀散せしめ郷土的集結配当は極力之を避くるを要す又戦友の選定には特に意を用いるを要す

一二 内務指導に方りては風俗、習慣、生活様式等より来る習性の矯正に重点を指向し特に道徳標準の低調、無知より来る欠陥に対しては真の戦友愛に徹し順を逐ひて訓育陶治せざるべからずこれ是が為特に内地出身兵の指導を事前に於て徹底せしめ些末の事項を以て大局を覆すことなき如く不断の監督を必要とす
又入隊当初に於ける内務教育就中躾教育は深刻に実施せざるべからず特に素質劣等者増加するに従ひ極めて卑近なる事項と雖も労を厭はず懇切に指導すること肝要なり
内務指導上一般的に著意すべき事項左の如し
1 言行一致、表裏一貫の精神指導は不断に而も懇切に実施するを要す
  これが為実行監督及実行報告の励行に著意するを要す
2 事大、押狃性を是正し他面積極進取の行動を誘起する如く寛猛機宜を得たる指導を必要とす
3 嘘言及盗癖に対しては現場、現物に就て其の欠点を指摘訓戒し且「口より実行」を強調徹底するの要あり
  註 嘘言及盗癖は左程悪しき事と考へざる習性あり
4 時間観念、共同物品の尊重は其の必要なる所以を知得せしむると共に不断の矯正を必要とす
5 食習慣の欠点は品性の陶治と相俟ち漸を以て慣熟せしむるを要す
  註 飲食物に対しては特に関心深く分配の分量、副食物等に対し淡白ならず且野外演習等に際し野卑なる行動を暴露することあり
6 衛生観念の向上に関しては当初より内務の躾として重視し過去の誤れる生活部面を懇切且徹底的に矯正すること肝要なりこの際其の習慣が宗教的伝統に因するものあるに注意するを要す
7 内地出身兵及朝鮮出身兵相互の言語の不通、慣習の相異、競争心等より来る感情の対立特に私的制裁は其の絶無を期せざるべからずこの際動機を究明し民族的対立観より来れるものに対しては公正厳重なる処断を要す

都「この一一だけを読めば、朝鮮人の団結を防ぐためバラバラに配置したという解釈はできるかもしれないわね。周りを内地人で囲むことによって教育の成果をあげようという狙いがあったんだとは思うけど」

神楽「他言語を学ぶためには、その国に行って生活するのが効果的、というのと同じじゃないかな」

鈴音「駅前留学みたいなもんかな?インターナショナルジャックナイフアメリカンスクール日本校とか」

都「わざわざリンクを貼るようなネタでもないでしょうに……」

響「『嘘言及盗癖は左程悪しき事と考へざる習性あり』って、今と変わってないような気も……ORZ」

都「4を読むと、時間観念、共同物品の尊重というものに対しての周知教育が必要だった、つまり、時間・共同物品の尊重という概念が薄かったんじゃないかということが言えそうね」

神楽「飲食物に対して関心深いというのは理解できるけど、『野卑なる行動』って何だ?」

鈴音「食事の前に手を洗わないとか?」

都「まさかぁ。実際には何だったのかしらね?」

一三 賞罰の行使は特に公平厳正なるを要するも褒賞の実施に方りては性格上の通有的弱点に基く心情の機微を洞察すると共に懲戒に方りては一般の軍紀、風紀的見地のみならず民族的潜在意識との相関を重視し且懲戒後の指導に関し注意する事肝要なり

一四 言語の理解は意思疎通及教育徹底の根本なり是を以て凡百の機会に於て醇正国語の指導矯正に意を用ふるを要す
素質劣等者増加に伴ひ入隊当初特別教育実施の要あるべし
用語上一般的に著意すべき事項左の如し
1、国語の未習熟、語法の過誤或は習慣等の為他に不快の念を抱かしむるが如き用語をなす場合あるも接するものは寛大にして真意を聴くこと必要なり
2、朝鮮語は単純にして語彙一般に狭く為に国語の持つ真意を十分に了得し難きものあるに鑑み特に理解し易き当用標準語を選択使用すると共に常に吾が真意の了得徹底度を確知する手段を講ずること必要なり 命令は必ず復唱せしむるを要す
 註:即答の出来ざるは「知らぬ為」のみならず適切なる用語に迷ふ場合に起る現象たることあり
3、朝鮮出身兵相互間における朝鮮語の使用は厳禁すると共に手紙に於ける諺文の使用は努めて避けしむるを要す
4、内地出身兵の無批判的朝鮮語の濫用及方言、訛言の使用は厳重に禁止するを要す
5、「鮮人」の語は用ひざるを要す
公文上必要あるもの以外にして特に区別して称呼する場合には半島(の人)(出身者)の語を用ゆるを可とす
また日本人と朝鮮人とを対立せしむるか如き使用は絶対に避け内地人と朝鮮人(又は半島人)と対せしむるを要す
 註:「鮮人」の語は先入主的に蔑視の意に聴く風あり但し朝鮮人と称呼する場合に於いても発言者の気持ちを十分理解せしめ置くの要あるべし

一五 身上調査及家庭との連絡は特に密なるを要す
 この際朝鮮家族制度の特徴を認識し且一般に戸籍調査不備なるの実情に鑑み、官公吏就中在郷軍人、学校職員等と連繋し真相の把握に関し留意するを要す

一六 年次進むに伴ひ精神状態の変化顕著なるもの多く殊に進級等自己の意に満たざる場合著しく性格上の欠陥を暴露し若くは下級者に対し尊大となり苛酷、冷情の取扱をなす傾向あり
下級幹部となりたる場合も亦同様にして自己の地位を利用し権柄となり他を圧迫する等の弊あるに鑑み監督と精神的指導を強化し特に骨肉の至情を喚起する如く教導し且賞罰の行使に留意すること緊要なり
 又在郷軍人としての心得の教育は十分徹底せしむるを要す

響「このあたりはなんだか見たことがあるような文だわね」

都「ああ、これでしょ」


一、絶対に頭、体を叩いてはいけない。怨みを持って復讐する気質があり脱走の原因となる。
一、清潔な食事運搬用バケツと雑巾バケツの区別をよく教えること。


『朝鮮軍司令部 1910-1945』(古野直也 国書刊行会)




5.身体で解らせた場合、根に持つ場合があるので、後で身辺には気をつけて行動しろ。
  但し、徹底的に解らせる迄手を抜いてはいけない。

米軍による韓国兵の扱いマニュアルより抜粋


神楽「『朝鮮出身兵相互間における朝鮮語の使用は厳禁すると共に手紙に於ける諺文の使用は努めて避けしむるを要す』ってことは、朝鮮語・諺文(ハングル)の使用を禁止して弾圧していたってこと?」

都「そこだけを切り取って紹介すればそう言えるでしょうね。だけど、軍隊内で指揮系統を統一するために単一言語を採用するのは当然のことでしょ。これは弾圧とかいった問題じゃないとおもうわ」

響「作者が大学の講義で学んだところによると、多民族を擁するハプスブルグ家のオーストリアでも、軍隊内の言語の統一については腐心していたんだって」

鈴音「最初はただ単位取得のために受講していたという西洋史が、10年以上の時を経て役立つとは奇遇なりー」

都「途中からおもしろくなっていったみたいよ。講師は大津留厚、テキストは大津留の著書『ハプスブルクの実験』だったわね。
 わざわざ朝鮮語・諺文の使用を禁止、制限しているというのは、一般社会ではそれらの使用があたりまえであったことを示すものだしね」

響「じゃ、ここを『朝鮮語・ハングル弾圧』の事例として紹介すれば、自爆は必至ってわけね」

鈴音「ネイバーあたりの韓国人なら、その程度の自爆はやるかもー」

神楽「国語つまり日本語の未習熟やまちがいのせいで不快に思うようなことを言う場合もあるが、そこは寛容にして真意を聞け、とか、命令復唱について即答できないのは、言葉を知らないか、言葉を選ぶのに迷ったためということがある、なんていうのは丁寧に書いているよなぁ」

響「『鮮人』という言葉を使うな、というのは朝鮮人にとって『鮮人』というのは悪いイメージがあったとされていた、とみていいわよね?」

都「そうね。ただ『先入主的に蔑視の意に聴く風あり』ということには留意すべきじゃないかしら」

鈴音「かってに差別的言辞だと思い込んでいる、ってこと?」

都「ええ。まぁ、差別とかセクハラといったこの手の問題は聞くほうがどう受けとるか、という主観的な部分に負うところが多いものだしね。とりあえず、日本人のほうでかなり気を遣っているということは言えそうね」

響「朝鮮人、という民族的呼称で呼べば、民族の違いを意識させることになるので、地域的呼称である『半島の人(出身者)」という言い方を採用しているのね」

神楽「『山の人』とか『島の人』というニュアンスで使うつもりなんだな」

響「『下級者に対し尊大となり苛酷、冷情の取扱をなす傾向』『下級幹部となりたる場合も亦同様にして自己の地位を利用し権柄となり他を圧迫する等の弊ある』って、何人であっても最悪ね」

都「虎の威を借る狐というやつよ。大東亜戦争中に、捕虜収容所勤務の多くの朝鮮出身兵が、捕虜虐待の罪に問われたのも理解できるわね」

鈴音「『教練其の他一般戦技、武技の訓練に方りては特に無形的戦闘諸要素の訓練を重視し忍耐、責任、犠牲、敢為、積極心等意志力の養成に努むるを要す』って、つまり『忍耐、責任、犠牲、敢為、積極心等意志力』が欠けていることを示しているんじゃない?」

都「お、あなたにしては鋭い指摘ね」

神楽「『積極心』だけは無駄に旺盛っぽいけどな」

一七 教練其の他一般戦技、武技の訓練に方りては特に無形的戦闘諸要素の訓練を重視し忍耐、責任、犠牲、敢為、積極心等意志力の養成に努むるを要す
 而して応用能力を必要とするものは比較的多くの時間を配当して反復、復行し十分なる自信を得せしむるを要す
 又体格に比し膂力不十分なるもの多きを以て入隊当初よりこれが鍛錬に意を用ふるを要す

一七ママ 分特業の選定に方りては応用能力を必要とするもの及精密技術作業を必要とするものには其の適性を鑑査して充当するを要す然れども性格上特業に於て好悪甚だしく地味なるを嫌ふ風あり
 又暗号等防諜に関し特別考慮の要あり

一八 現役下士官、幹部候補生の銓衡に方りては厳格なる査定特に精神的資質と家庭の事情を考慮し貧困者は努めて避くるを要す
 而して之等幹部の教育に於ては思想、性格上の弱点を深刻に矯正しよく内地人の美点に同化融合せしむる如く指導すると共に公正を旨とし十分其の実力を発揮せしむる
 又事に方り断乎自己の責任を以て之を処理するの決断力の養成と部下に対する干渉癖の矯正とは教育指導上特に注意を要す

神楽「『性格上特業に於て好悪甚だしく地味なるを嫌ふ風あり』か。当時から見栄えが良くて派手なものが好きだったんだな」

くるみ「地味って言うな!(涙)」

鈴音「?何か声が聞こえたような気がするけど、わかんないや」

都「……『暗号等防諜に関し特別考慮の要あり』というのは、地味な精密技術作業を嫌うから担当させる場合には注意しろという解釈と、重要機密に触れさせるなという解釈の二通りができそうね」

響「ま、暗号の読み間違い打ち間違いはシャレにならないからね」

神楽「『現役下士官、幹部候補生の銓衡に方りては厳格なる査定特に精神的資質と家庭の事情を考慮し貧困者は努めて避くるを要す』ってのはどういうことだ?」

鈴音「下士官、幹候って、給料から持ち出しでの付き合いや部下の世話にお金がかかったのかな?」

都「どうなんでしょ?これは以後調べておくことにするわ」

鈴音「『事に方り断乎自己の責任を以て之を処理するの決断力』って、昔も今も朝鮮人にあったのかなぁ?」

都「最後にひどいこと言うわね。たしかに、現在でも大統領以下、悪いことは全部他者、とくに日米のせいにしてるしね」


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