戦後朝鮮人の送還について 7



白鳥鈴音「ね、ね、今回は悪辣な日帝の収容所の話からだよねっ♪」

上原都「無駄にテンション高いわね。今回で完結させたいから前フリ無しでいくわ。前回も紹介した『府参事会議案原議綴 昭和21年11月 自59号〜至64号』簿冊から、教育民生部長が10月2日に提出した予算要求に対する査定よ」

予算追加要求査定(密入国朝鮮人臨時収容所費)

知事(印)
  内務部長    議事課長(印)   主担(印)
   伺
  予算追加要求査定
 本案査定御決裁後は次回参事会に提案附議して差支なきや
  件名 密入国朝鮮人臨時収容所費 要求課 援護課 主担者 松下事務官
                      電話庁内 公衆 125番

  一金292,669 円  援護課要求額
  一金292,669 円  議事課査定額

  右充当財源 国庫下渡金  175,601円
        繰越金    117,068円

摘要 主務課要求額 議事課査定額 査定意見
   
密入国朝鮮人臨時収容所費 292,669 292,669 同意

査定調書  
摘要 要求額 査定額 査定内容
収容者給与費 153,600 153,600  
  賄費 10,800 10,800 1日食費9円1食3円は厚生省引揚援護と同額
  携帯食費 45,600 45,600 弁当 引揚援護と同食3食分
乾パン 送還人と同食6食分
医療費 6,000 6,000  
需用費 6,104 6,104  
雑費 29,300 29,300  
設備費 97,665 97,665  
  便所新設及内部改造費 51,665 51,665 府営繕係見積書に依る
  畳購入費 18,000 18,000 @180円 百畳分
  寝具費 20,000 20,000 @100円 2百枚分
  雑費 8,000 8,000  
292,669 292,669  


綿貫響「査定の結果、予算は要求どおり満額回答だから、特に金額面について突っ込むところはなさそうね」

上原都「ポイントは、送還時に支給される食事として『弁当 引揚援護と同食3食分 乾パン 送還人と同食6食分』とあるところね。つまり、通常の引揚援護時にもこれと同じものが支給されていたってことになるわけ」

綿貫響「あれ?『便所新設及内部改造費』とあるわね。これって収容所を新築するんじゃなくて既存の施設を改造するってことだわね」

神楽「そうか。新築ならそんな費目じゃなくて『内装費』とかになるはずだもんな」

上原都「ええ。いいところに気づいたわね。じゃ、査定された予算追加要求の本体を続けてみていきましょう」

予算追加要求の件(密入国朝鮮人臨時収容所費) 付:扇町臨時収容所設備工事設計書

 昭和21年10月2日
           教育民生部長
内務部長殿

  予算追加要求の件
昭和21年度歳出予算中別紙の通り追加方お取計ひ願ひます


(予算説明書は略)

  追加予算要求理由書
近時朝鮮の食糧事情並びに治安状態が極めて悪化してゐるのに反して日本内地の社会状態は闇行為が横行して彼等朝鮮人には闇さへやれば安易な生活が出来るとの浅薄な観念から密入国するものが漸次増加して最近全国で1ヶ月約1万人を超へ本府に於ても現在約3千名以上が潜入してゐるものと予想せられてゐる
又一方終戦后北海道及九州の炭鉱地区から朝鮮に引揚げるべく出発した労務者が帰国せ(ママ)ないで闇市都市を目指して潜入浮浪してゐる所謂無籍物(ママ)が府下に約千名程度潜在してゐる見込である 以上の密入国及無籍者の殆どは闇と犯罪に依つて生活を維持してゐる実情であって我が国経済力の再建と治安回復に著しい障碍を与へてゐるので9月5日付米進駐軍大阪軍政部より知事宛密入国朝鮮人送還の指令に接したので是等の在留者を一斉検挙の上収容所に収容して逃走を防止して逐次送還を実施せんとするものであつてこの臨時収容所の設置に伴ふ諸経費を要求するものである
尚今回設置せんとする場所は左の通りとす
  北区扇町商業学校地下室


神楽「『最近全国で1ヶ月約1万人を超へ本府に於ても現在約3千名以上が潜入してゐるものと予想せられてゐる』か。前回の表でも、朝鮮人密航者の逮捕数だけで7月で9,580人、8月で7.990人もいるしなぁ」

綿貫響「『是等の在留者を一斉検挙の上収容所に収容して逃走を防止して逐次送還を実施』するためにこの臨時収容所が必要なのね」

白鳥鈴音「収容所は『北区扇町商業学校地下室』に設置するんだね」

上原都「ええ。扇町商業学校は現在の扇町総合高校なんだけど、当時の所在地は今と違って扇町公園のあたりにあったみたい」

綿貫響「関西テレビや北区役所の近所ね」

白鳥鈴音「地下室だからきっと拷問とか虐待しまくりなんだよー♪」

上原都「って、そんなのできるわけないでしょ。米軍政部の監督もあるんだし。次は予算要求の明細よ」

  予算要求明細書
密入国朝鮮人一、不法入国者臨時収容所費 292,669195,004
 1、収容者給与費  153,600円
  イ、賄費   10,800円
    1日100人収容120日 1人1日食費9円(36,000食1食3円)
  ロ、携帯食費 45,600円
    送還の場合の ┌弁当代4,000人の3食12,000食1食3円36,000円
           └乾パン代4,000人の6食24,000食1食40銭9,600円

 2、医療費  6,000円
   1日5人当り延600人 1人1日10円の割
 3、需用費  6,104円
  イ、木炭1日2俵240俵 1俵に付21円60 5,184円
  ロ、電燈料 月200円 4ヵ月分 800円
  ハ、水道料 月 30円 4ヵ月分 120円

 4、雑費  29,300円
  イ、運搬費 7,500円
     畳、寝具(毛布等)食器等運搬の為の自動車借上料1時間100円当75時間分
  ロ、衛生費 2,400円
     汲取 120回分 1回20円
  ハ、人夫費 5,400円
     1日3人延360人分 1人1日15円の割
  ニ、食器其の他備品消耗品費 12,000円
     1人3円当り4,000人分
  ホ、雑費 2,000円
     1ヶ月500円 4ヵ月分

 5、設備費  97,665円
  1、便所洗面所新設並びに内部改造費 51,665円
     別紙建築課係員見積書の通り
  2、畳購入費 18,000円
     100枚分 1枚180円の割
  3、寝具費 20,000円
     毛布200枚 1枚100円の割
  4、雑費 8,000円
     米軍政部の命令により収容所の内部改造を予想せられ是等の諸経費並びに諸雑費



神楽「医療費もあるんだ」

綿貫響「そりゃ、伝染病とかが発生したらシャレにならないから医療費は確保しとかないと。ん?『畳、寝具(毛布等)食器等運搬の為の自動車借上料1時間100円』ってどういうこと?畳は内装工事の時に搬入して張ったらおしまいだし、寝具や食器も工事完了後に搬入したらおしまいでしょ?運搬時間を75時間も見込むなんて多すぎるんじゃない?」

上原都「『人夫費』というのもあるから、寝具や食器は別のところに保管していて、毎朝毎晩、食事ごとに搬入搬出したとも考えたんだけど、それだと逆に時間が短すぎるしねぇ(120日収容計算で75時間だから、1日あたり37分)…いくら考えても分からないからお手上げ」

白鳥鈴音「それじゃ、悩んでても意味ないし、次いってみようよ」

扇町臨時収容所設備工事設計書(建築課)
一金 五萬壱阡六百六拾五円
内訳
名称 寸尺 員数 ■■ 単価 小計
収容室及宿直室
床板張
  31.50 500.00 15,750.00
仝右
畳敷手間
  63.00 5.00 315.00
控所新設   1.20 1,000.00 1,200.00
屯所新築   1.00   3,000.00
洗面所新設 木製屋根■ 8.00 ヶ所 300.00 2,400.00
便所新設 大便所4ヶ所
小便所8尺
1.00   4,000.00
窓格子入   4.00 ヶ所 250.00 1,000.00
給排水工事   1.00   5,000.00
電気工事   1.00   5,000.00
手間工事   1.00   7,000.00
運搬諸雑費   1.00   8,000.00
        51,665.00


綿貫響「内装工事の設計表ね。『運搬諸雑費』ってあるけど、これには畳も含まれるのかしら?」

上原都「んー、それは資材だけの運搬で、畳の運搬は含まれていないと思うの。この次には前回も見た大阪軍政部から知事宛の密入国朝鮮人送還指令の翻訳文が再び添付されているんだけどそれは省略して、その次に添付されているメモを見るわ」

収容開始の時期に付て。
 聯合軍最高司令部より指令あり次第直ちに開始するのである。
 時機は大体二十日前後と思料せらるるも目下朝鮮に於ては鉄道は「ゼネスト」決行中であり解決付次第送還を開始する。然し本件に関する検挙並びに収容は万端準備出来てゐる。←右の次第
 一部警察に於ては既に検挙中であり一時留置場に収容中との事である。

現在の状態に付て
 十月十二日工事完了備品搬入済み。
 施設は最高一〇〇名迄それ以上収容不可能である一日一〇〇人延三日留置一ケ月千人、四千人の目途で行くと四ケ月かかる事に成る。

最初公安課と援護課が事務打合の際施設収容力を充分検討せず四千人を大体三ケ月位で送還させる予定で公安課が予算を編成経理係に提出せるも援護課に於ては施設の収容力を実際調査した結果△傍述せし四ケ月の計算が出たのであつて。その■公安課と援護課の食違が生ぢたのである。


神楽「10月12日の時点で収容所の工事は完了、備品も搬入済みなんだな」

上原都「『朝鮮に於ては鉄道は「ゼネスト」決行中』とあるけど、これはSCAPIN1230 朝鮮への送還でも触れられていたストのことよ」

綿貫響「いくら逮捕して送還しても、密入国してくる時点で摘発できない限り、いたちごっこになるだけよ。水際での摘発は昭和21年度 密航朝鮮人取締について 1昭和21年度 密航朝鮮人取締について 2で見たように海岸に監視哨を設置したし、海上での取締は前回でも見たように不法入国を阻止する船隊を配置したけどさ、特に後者はどの程度効果があったかはあやしいんじゃないの?」

神楽「小規模・低速・非武装の船艇ばかりだもんなぁ」

白鳥鈴音「要請していた旧海軍の船艇の採用も賛成されなかったしね」

上原都「でも、不法入国・密輸の取り締まりは喫緊の課題だったから、その強化についてGHQとの折衝を継続したのよ。その結果、1947年4月22日付SCAPIN1622によって、旧海軍の特務駆潜艇28隻と特務哨戒艇10隻が運輸省海運局に貸与されたの」

SCAPIN1622 警察警備艇として特務駆潜艇及び特務哨戒艇の使用

2.The request submitted by the Imperial Japanese Government to utilize twenty-eight (28) SCS's (auxiliary subchasers) and ten (10) PCS's (auxiliary patrol craft) to reinforce present measures against illegal entry and smuggling into Japan, is approved subject to the following conditions.
 a.That the vessels concerned be turned over to the Maritime Bureau of the Ministry of Transportation.
 b.That the additional vessels be utilized to increase present activities related to reestablishment of navigational aids, elimination of hazards to navigation and other related maritime safety activities.
 c.That these vessels be unarmed.

2.日本政府が提出した、日本への不法入国と密輸に対する現在の対策を補強するために、28隻の特務駆潜艇と10隻の特務哨戒艇を使用するという要請は、以下の状況を前提として承認される
 a.関係する船舶は運輸省海運局に引き渡される
 b.追加船舶は、航路標識の整備、航路障害の除去に関する行動現行業務及びその他の海上安全に関する行動を強化するために使用すること
 c.これらの船舶は武装しない

上原都「もっとも、このSCAPIN1622で参照としてあげられている46年11月16日付CLO615は発見できていないわ。というか、46年11月の時点でCLOの発出ナンバーが615なんてありえないのよ」

綿貫響「じゃ、そのCLOの発出ナンバーか発出日付が間違ってるの?」

上原都「ええ。46年11月のCLOならナンバーは6000番台だけど、該当する内容のものもなかったし、47年のCLO615も調べたけど関係ないし…海上保安庁編纂の『十年史』に巻末資料11として収録されている発出番号・日付ともに不明のCLO「日本向不法入国禁止に関する件」ってのがあって、そこでは別表にあげた船舶を第二復員局から海運局に移管するよう要請しているから、ひょっとしたらそれが該当するのかもしれないんだけど…なんとも言えないわねぇ」

神楽「で、貸与された船舶はあいかわらず非武装かぁ…」

上原都「しかも『十年史』と、海上保安庁の初代長官で当時は運輸省船員局長として海上保安政策の構想作成にあたっていた大久保武雄の『海鳴りの日々』によると、これらの船艇は木造で排水量100トン足らず、速力は7、8ノットしかなかったの」

綿貫響「やっぱり、まっとうな船艇とある程度の武装を持った強力な海上保安機構がないとねぇ…」

上原都「そういうわけで、さらに組織強化についての折衝が続けられるのよ。もっとも、組織的な海上機構の設立は日本海軍の復活の礎になる!って対日理事会や極東委員会に於いてソ連や中国が反対したし、GHQ内部でも意見の対立があったんだけどね。
 結局は、船艇は最大排水量1,500トン・最高速力15ノットで武装は保安官用の小火器のみ等といった制限つきで、1948年5月1日に海上保安庁が発足したの。これにともない運輸省海運局不法入国船舶監視本部は発展的解消したわ」

神楽「小火器とはいえ、やっと武装はできたんだな」

上原都「ところが、拳銃貸与が実行されたのは1949年11月からで、それまでは実状は変わってないのよ」

神楽「おいおい、じゃぁ相手が停戦命令に従わず逃走したらどうするんだ?いや、それより実力行使もなくどうやって停船させるんだ?」

上原都「上掲書によるんだけど…逃走する不審船に船内食糧のじゃがいもを投げたり、船首を相手の船腹にぶつけて穴を開けて停船させ、薪を警棒代わりに持って乗り込むの」

白鳥鈴音「パイレーツ♪」

綿貫響「19世紀後半まで逆戻りじゃないの!」

上原都「命を的にしてやっていたみたいよ。幸い犠牲者は出ていないみたいだけど」

白鳥鈴音「海上保安庁って前身の不法入国船舶監視本部のころから朝鮮の不審船と闘う宿命を持っていたんだね♪」

上原都「ま、地理的条件からしても不法入国・密輸等の不審船は朝鮮半島のものが主力になるしね。で、こういった海上での摘発に加えて、大阪府では正規の朝鮮人居住者を登録・把握することで密航者をあぶり出そうとしたのよ」

綿貫響「それが前回触れなかった『居住証明書』ってやつね」

上原都「そういうこと。前回紹介した『府参事会議案原議綴 昭和21年11月 自59号〜至64号』簿冊の送還実施要領の続きになるんだけど、『居住証明書発給手続』について見るわね」

居住証明書発給手続

一、現に大阪府に居住してゐる朝鮮人は其の世帯主から十月十五日迄に所轄警察署に届出て大阪府に於ける居住証明書の交付を受けること
   註 十月十五日現在の居住証明書発給状況を第七号様式によつて報告すること。尚爾後の発給状況は毎週月曜日に前週中のものを同様式により報告すること
  今後大阪府下に居住しようとするものは府下に転入後十日以内に前項の手続をすること

二、居住証明書の交付を受けようとする者は米穀通帖(米穀通帖無いときは米穀以外の物資の配給に関する通帖)及個人金融通帖を係官に掲示し口頭を以て届出ること

三、所轄警察に於て居住証明書の交付の届出のあつた時は居住の事実を確認したる上別記第一号様式の証明書を交付すること
  証明書を交付したる時は別記第二号様式の居住証明書発給台帖に記載すること

四、居住証明書の盗難紛失焼失等によつて喪失したときは其の事実を知つたときから十日以内に居住証明書発給警察署に居住証明書際発給の届出を為すこと

五、前号の届出があつたときは喪失の事実を厳正に調査し之を確認したる上再発給を為すこと

六、大阪府管内で住所を移転したものは五日以内に新旧警察署に届出を為すこと
  右の場合証明書の記入は新住所地の警察署に於て其の事実を確認の上措置すること

七、大阪府管外に移転をしようとする者は居住証明書を発給警察署に返納すること


綿貫響「理屈としては外国滞在時のパスポートと同じよね。持ってなかったら不法滞在とばれるわけだし」

上原都「だけど、在日本朝鮮人連盟(朝連)や朝鮮建国促進青年同盟(建青)などの朝鮮人諸団体が朝鮮人弾圧反対共同闘争委員会を結成して「戦前の『協和会手帳』の再現であり、人権侵害ニダ!」と反対運動を行なったのよ」

白鳥鈴音「『協和会』って前に触れた興生会の前身団体だよね。そこの手帳って何なのかな?」

上原都「前にも言ったけど、正規の合法的手段で内地に移入してきた朝鮮人は融和・統制などのために協和会に編入されたんだけど、その際に発行された氏名・顔写真・住所などを記した手帳よ。これを朝鮮人に対する監視・弾圧政策と捉える連中が多いけど、正規移入者と不法入国者とを区別するのに他の方法があったかしらねぇ」

神楽「戦前も密航は多かったそうだしな」

綿貫響「正規居住者は密航者のとばっちりを受けるんだから、寧ろ密航者と同一視されないような方法を自分たちで考案した方がよかったんじゃないのかな?」

上原都「で、そういった反対運動もあって、予定していた10月1日からの登録実施は中止されたんだけど、『戦後・大阪の朝鮮人運動』(梁永厚 未来社)によれば、10月7日には、朝鮮人約2万人が登録実施の完全撤回を求めて桜ノ宮公園に集結して集会とデモ行進を行い、GHQの大阪軍政部法務課長カーナン少佐に陳情をしたの」

綿貫響「で、カーナン少佐はどうしたの?『解放民族』とやらの訴えを聞き容れたの?」

上原都「いいえ、まったく逆。居住証明制度は密航者を取締るものであって適法に居住する者には不利ではないということを下部組織に周知徹底しろって言い渡したの」

白鳥鈴音「おひゃぁ、薮蛇だね」

上原都「朝鮮人弾圧反対共同闘争委員会は11月30日に中之島公会堂で集会を開いて、今度は大阪府当局に撤回を要請したんだけど、大阪軍政部の支持を得ていた府当局は11月30日に府令109号「朝鮮人登録に関する件」を公布して12月1日からの登録実施を施行したの。公報と広告を掲示するわね」

昭和21年11月30日付大阪府公報 号外

大阪府令第百九号
昭和二十一年九月五日大阪軍政部から発せられた「密入国朝鮮人送還に関する件」指令に基いて、本府に居住する朝鮮人に対し、次の通り登録を実施する。
 昭和二十一年十一月三十日
   大阪府知事 田中廣太郎

  朝鮮人登録に関する件
第一条 現に大阪府下に居住する朝鮮人で、次の各号に該当する者は、昭和二十一年十二月一目から十二月十五日までの間において、その居住地を管轄する朝鮮人登録所(以下単に登録所という)に出頭し登録の届出をなし朝鮮人登録証の交付を受けなければならない。
 一 世帯主(世帯主が女子の場合はその女子とする)
 二 同居家族であって数え年十六歳以上の男子

第二条 今後大阪府下に居住しようとする朝鮮人に対しては、前条の規定を準用する。
  前項の場合は府下に転入後十日以内に登録の届出をしなければならない。

第三条 前各条の届出を受けつけた登録所では次の区別によって、朝鮮人登録証(以下単に登録証という)を交付する。
 一 世帯主の場合は世帯主票
 二 同居家族であって数え年十六歳以上の男子の場合には個人票

第四条 朝鮮人登録証の交付を受けようとする者は、家庭食糧配給通帳(米穀通帳)を係官に提示して届出なければならない。

第五条 登録証は単に大阪府下に正当に居住することを証明するだけのものである。

第六条 登録証の交付方届出のあった際には、登録所では正当に居住する者であるか否かを審査し、正当に居住する事実が確認された場合に限り別紙様式の登録証を交付する。

第七条 不法入国者でない無籍者で当該登録所長が正当の事由ありと認めた場合には、その者の入籍を認めることがあるから、該当者は次の書類を添えて登録所に届出なければならない。
 一 元居住地の町会長或は隣組長の居住証明書又は転出証明書
 二 現在居住する住所地の町会長或は隣組長の居住証明書
 三 現在居住する住所地の受持巡査派出所の居住証明書
 なお工場、会社、商店等に雇傭されている者は雇傭主の証明書又はその事実を証明する書類を添付すること。

第八条 登録証を盗難、紛失、焼失等により喪失したときは、その事実を知ったときから十日以内にその事実を証明するに足る書類を添付して所轄登録所に出頭し登録証再交付の届出をしなければならない。

第九条 大阪府管内で住所を移転した際には届出をする義務はないが、新住所地の登録所から出頭を命ぜられた際には、これに従わなければならない。

第十条 大阪府管轄外に移転をしようとする者は登録証を発給登録所に返納せなければならない。

第十一条 警察官吏から登録証の提示を命ぜられた場合には、これに従わなければならない。

第十二条 登録証は他人に貸与したり又は偽造することはできない。
   附則
この府令は、昭和二十一年十二月一目からこれを施行する。


1946年12月1日付朝日(大阪) 3日付毎日(大阪) 広告

     (急告)
 朝鮮人登録証交付について
大阪府下に於て正当に居住する朝鮮人に対し左記により登録証を交付致しますから該当者は定められた期間内に居住地の登録所(警察署)に出頭して登録証の交付を受けて下さい。定められた期間を過ぎてから登録証を持たぬ方は密入国者として朝鮮に送還を命ぜられることが有ります
     左記
一、登録証を受くべき期間
   自 昭和二十一年 十二月 一日 間
   至        十二月十五日
(イ)現在大阪府下に居住している方は右の期間内に受けなければなりません
(ロ)期間経過後他府県より大阪府下に転入した方は転入後十日以内に受けなければなりません

二、登録証を受くべき者
(イ)世帯主(男女を問はず受けること)
(ロ)同居家族又は単なる同居人で数え年十六歳以上の男子

三、手続方法
(イ)登録証を受けに行くときは必ず家庭米穀通帳を持参して係官に示して下さい
(ロ)必ず本人出頭して下さい

    昭和二十一年十二月  大阪府

*画像は朝日

上原都「登録所の設置については訂正があったようだけどね」

1946年12月6日付朝日(大阪)・毎日(大阪) 広告

  訂正広告
先般新聞紙上に発表した朝鮮人登録に就ての登録所は次の方法によるものであるから訂正する

一、各警察署に登録所を設置さるるも登録第一期間(十二月一日より十二月十五日迄)に於ては朝鮮人人口稠密なる地区は警察署外の場所に登録所を設くるものとす
人口稀薄なる地区に於ては朝鮮人代表は其の地区警察署長と協議をなし判断は当該警察署長に委かすものとす
                大阪府

*画像は朝日

綿貫響「えっ?『在日激動の百年』(金賛汀 朝日新聞社)じゃ、GHQは朝連などの猛反対を受けて46年12月に日本政府に対して登録中止を指示したって書いてあるわよ。ほんとうに実施されたの?」

上原都「昭和22年2月21日に田中廣太郎大阪府知事は職を解かれ、3月11日に高辻武邦が就任するまでの間、内務部長の大塚兼紀が知事代理を務めたんだけど、2月に作成された大阪府知事事務引継書の中に警察部公安課が作成したらしい状況報告があるわ。それを見れば登録が実施されたことが分かるわ」

第三国人一般情勢

(一、中国関係は省略)

二、朝鮮関係
 1.在住人口
       世帯数   26,194世帯
       人 口   103,590 名

 2.団体関係
  (1)在日本朝鮮人連盟
    大阪本部  北区中崎町
    支  部  府下に二十八支部あり
  (2)在日本朝鮮人居留民団
  (3)朝鮮建国促進青年同盟
  (4)朝鮮民主青年同盟
  (5)国際協会
  (6)朝鮮人商工会
  (7)朝鮮人体育協会

3.新聞関係
  (1)朝鮮新報社
  (2)解放新聞
  (3)朝鮮国際新聞
  (4)新世界新聞
  (5)朝鮮情報
  (6)国際タイムス

4.送還状況
  南朝鮮への帰国希望者の計画輸送による送還は昨年九月末日を以て完了し其の後事故者の送還を二回実施したのを最後として南部朝鮮への送還は全く完了した
  北部朝鮮への帰国希望者の送還は来る三月五日に実施する予定であつて之を以て一応は終了するのである
  今後は不法入国者又は国外追放処分を受けた者の強制送還以外は送還を行はない方針である

5.朝鮮人登録制について
  当府では密入国朝鮮人を調査する唯一の手段として昨年末以来朝鮮人登録制を実施し正当に居住する世帯主及び十六才以上の男子には一定の登録証を所持せしめ之によつて密入国朝鮮人を調査してゐるが実施以来密入国者の検挙に多大の効果を収めてゐる
  本年二月十日を以て登録証の発給を完了したが世帯主票に於て二六七三五票個人票に於て一三六五一票を交付し之によつて在住朝鮮人の実態を完全に把握することが出来たのである
  折々朝鮮人の登録制は当府が立案計画したものであつて在阪進駐軍当局の諒解を得且つ絶対的支持を得て実施したものであるが他の府県は朝鮮人団体の猛烈な反対に逢ひその実施を見合してゐる実情であり内務省としても当府の制度を支持してゐるものゝ今之を全国的に実施する意図は現在のところ無いようである

6.最近の動向
  昨年八月の闇市一斉閉鎖以来朝鮮人の動向はやゝ好転したが其の後朝鮮人登録制の実施を発表して以来彼等に相当刺激を与へた関係と団体内に於ても一般朝鮮人の間に於ても感情的に流れてその動向は再び悪化の徴候があつたが当府のとつた強力な取締対策と懐柔策とによつて悪感情も払拭され最近の動向は再び好転して自安的な方向に進んでゐるので集団的不法行為は全く其の跡を絶つたかの感がある
  然し乍ら彼等の間には闇は依然として絶へず我が国経済再建の癌を為して居り一億円以上の新円を獲得した朝鮮人は数名あり特にゴム工業は経済界王座を占めてゐる




神楽「たしかに登録が実施されたって書いているな」

上原都「『実施以来密入国者の検挙に多大の効果を収めてゐる』という評価の妥当性は擱くとしても、『密入国朝鮮人を調査する唯一の手段』というように、これしか方法もないわけだしね」

白鳥鈴音「ねーねー、『一、中国関係』にもおもしろいことが書いてあるよー」

5.最近の動向
  昨年八月に実施した闇市一斉閉鎖以来中国人の動向は遂日好転しその後中国代表団関西僑務処主任劉専員が大阪に駐在して以来在阪中国人の動向は朝鮮人に比し極めて穏健で従来の如き集団的な不法越軌行為は全然認められない。昨年暮に帰国希望者の台湾への送還を実施したが現在大阪に在住する台湾省民は比較的親日的で日本に永住する気持の者が多いが闇生活に依存する者が多く莫大な新円を獲得した連中も相当ある。


白鳥鈴音「三国人の中でも、中国人や台湾人のほうがまだおとなしくてマシなんだねー♪」

神楽「『不法狼藉の限りを尽す三国人』=『朝鮮人』というイメージができたのも無理ないかなぁ…」

上原都「日本在住の三国人のうち、中国人と台湾人に比して朝鮮人の絶対数が多い分、事件数も多くて目立ったというのもあるかもね…これで密航についてのお話はおしまい」

綿貫響「済州島4・3事件や朝鮮戦争による密航は触れないのね」

上原都「あくまでも戦後の朝鮮人送還に付随する密航の話がお題だからね。最後はおまけのような感じで日本残留を選択した朝鮮人の地位について少し触れておくわ」

綿貫響「刑事裁判権については、たしか
第5回で日本が行使できたっていったわね」

上原都「ええ。さらにそれらの朝鮮人の地位取扱について46年11月12日にGHQが声明を発表したんだけど…」

朝鮮人の地位及び取扱に関する総司令部渉外局発表

昭和21年11月12日

 日本にいる朝鮮人で総司令部の引揚計画に基いてその本国に帰還することを拒絶するものは、正当に設立された朝鮮政府がかれらに対して朝鮮国民として承認を与える時まで、その日本国籍を保持しているものとみなされる、と本日総司令部係官が述べた。
 いかなる朝鮮人も引揚のために呼出をうけたとき引揚援護局に出頭しなければ、それがその者の力に及ばない事情に因るものでない限り、その不出頭は拒絶と解される、と引揚係官は述べた。そのような拒絶によって、日本と朝鮮との間の正常な商業輸送が再開される時までその引揚の特権を失う。
 帰国を拒絶する朝鮮人は、またかれらが関係する日本の刑事裁判手続について占領官憲の審査を受ける権利を失う、と附言された。


朝鮮人の地位及び取扱に関する総司令部民間情報教育局発表

昭和21年11月12日

 日本にいる朝鮮人で連合国総司令部の引揚計画に基いてその本国に帰還することを拒絶するものは、正当に設立された朝鮮政府がかれらに対して朝鮮国民として承認を与える時まで、その日本国籍を保持しているものとみなされる、と本日総司令部係官が警告した。
 いかなる朝鮮人も引揚のために呼出をうけたとき引揚援護局に出頭しなければ、それがその者の力に及ばない事情に因るものでない限り、その不出頭は拒絶と解される、とスポークスマンはいった。そのような拒絶によって、その者は、日本と朝鮮との間の正常な商業輸送が再開される時までその引揚の特権を失う。
 拒絶することによって、この朝鮮人は、占領官憲による日本の裁判手続の審査を受ける権利をも失う、と総司令部係官は、附言された。去る2月出された連合国最高司令官指令の条項に基いて、朝鮮人及び従前日本の支配の下にあった他の国の国民でその本国に帰還する意思を有することについて適当な証拠を提供するものに対して日本の刑事裁判所が下した判決は、連合国最高司令官又はその指名する代理者による審査及び他の措置に服している。
 このような最高司令官の審査の結果として、刑の執行中止、不承認、停止、酌量減刑、全部若しくは一部の免除又は減刑が行われることがあろう。いかなる場合においても、日本の裁判所の判決が、加重されることはない。

「在日朝鮮人管理重要文書集1945-1950」(外務省政務局特別史料課 1950.3 湖北社復刊)p15・16


1946年11月13日朝日(大阪)
帰国を拒否した朝鮮人の取計ひ
日本にある朝鮮人で総司令部の送還計画に基く帰国を拒否したものは、今後朝鮮政府が正式に成立して彼らに朝鮮国籍を認めるまで引つゞき日本国籍を保持するものとみなされる旨総司令部当局は言明した


1946年11月13日読売
帰鮮拒めば日本国籍へ 在日朝鮮人に警告
【渉外局発表】連合軍総司令部の送還計画による本国帰還に応じない在日朝鮮人は朝鮮政府が正式に樹立され同政府が以上の在日朝鮮人を朝鮮人として公式に承認する時期がくるまで、こんごは日本の国籍を有するものとみなされる旨総司令部当局は十二日警告を発した、なほ総司令部スポークスマンは、次のやうに言明した
 本国に帰るやう要求された際不可抗力による以外の理由で引揚げ本部に報告をしなかつた朝鮮人は当局の引揚げ要求を拒否したものとみなす、そしてこれらの朝鮮人はかゝる拒否によつて日本と朝鮮との間に正常な商業輸送が再開されるまで送還の特権を喪ふことになる、拒否することによつて朝鮮人は日本側の法律的手続を占領軍当局によつて再審してもらふ権利を失ふものである
去る二月発せられた総司令部指令によれば日本の刑事法廷によつて朝鮮人その他の嘗て日本の支配下にあつた諸国民で、母国に帰りたいといふ意図を十分な証拠をもつて示す人々に対し課せられた刑の宣告は連合軍総司令官ないしその代理によつて再審および三審以上の措置をうけることになつてゐる


1946年11月15日毎日(大阪)
帰国拒絶の朝鮮人取扱指令
(渉外局発表)日本にある朝鮮人で総司令部の送還計画に基づく帰国を拒否したものは今後朝鮮政府が正式に成立して彼らに朝鮮国籍を認めるまで引続き日本国籍を有するものとみなされる旨、総司令部は言明した、なほ引揚げに対して引揚本部に報告方を怠つた朝鮮人はやむを得ない事情に基づくものでない限り帰国を拒否したものと見なされ将来日鮮間に通常の商業輸送が再開されるまで帰国の権利を失ふことになる、また帰国を拒否した朝鮮人は刑事事件で日本の裁判に附された場合、占領軍当局による再審の権利を失ふことになる


上原都「他にも13日付の朝日(東京版)、15日付毎日(大阪版)が同じ報道をしているわ…だけどこれを見た朝鮮人たちがねぇ…」

神楽「?」

白鳥鈴音「抗議したのかなぁ?」

上原都「…あたり…朝連などの諸団体が『ウリたちは日本国民じゃない。解放民族ニダ!』って抗議したのよ。GHQはそれに対して以下のように対処したの」

朝鮮人の地位及び取扱に関する総司令部民間情報教育局発表

昭和21年11月12日

 日本にいる朝鮮人で連合国総司令部の引揚計画に基いてその本国に帰還することを拒絶するものは、正当に設立された朝鮮政府がかれらに対して朝鮮国民として承認を与える時まで、その日本国籍を保持しているものとみなされる、と本日総司令部係官が警告した。
 いかなる朝鮮人も引揚のために呼出をうけたとき引揚援護局に出頭しなければ、それがその者の力に及ばない事情に因るものでない限り、その不出頭は拒絶と解される、とスポークスマンはいった。そのような拒絶によって、その者は、日本と朝鮮との間の正常な商業輸送が再開される時までその引揚の特権を失う。
 拒絶することによって、この朝鮮人は、占領官憲による日本の裁判手続の審査を受ける権利をも失う、と総司令部係官は、附言された。去る2月出された連合国最高司令官指令の条項に基いて、朝鮮人及び従前日本の支配の下にあった他の国の国民でその本国に帰還する意思を有することについて適当な証拠を提供するものに対して日本の刑事裁判所が下した判決は、連合国最高司令官又はその指名する代理者による審査及び他の措置に服している。
 このような最高司令官の審査の結果として、刑の執行中止、不承認、停止、酌量減刑、全部若しくは一部の免除又は減刑が行われることがあろう。いかなる場合においても、日本の裁判所の判決が、加重されることはない。

「在日朝鮮人管理重要文書集1945-1950」(外務省政務局特別史料課 1950.3 湖北社復刊)p16・17

1946年11月21日毎日(大阪)
犲3伊仝↓畧掬ならず 国籍の選択は妨げない
在日朝鮮人 マ司令部声明
(渉外局発表)総司令部スポークスマンは最近一部新聞紙上に現れた在日朝鮮人の地位および取扱ひに関する誤解を一掃するため廿日つぎのやうなステートメントを発表した
◇朝鮮人を解放された国民として取扱ひ、その福祉のために尽力するといふことは占領以来占領軍当局の政策であつた、政治囚の釈放や奴隷的な労働者の解放の処置は敏速にとられて来た、引揚計画も樹てられ不法入国をして二度目の引揚げをさせられたもの一万四千を別にして今日まですでに九十一万九千余名が帰国した、現在在日朝鮮人は約六十万だが引揚げを要望してゐるものは総計僅かに七万五千にすぎない
◇日本当局は朝鮮人にはどんな差別待遇もしないやう保障する言明を発してをり、また占領軍当局はかうした指令が完全に行はれるやうつねに腐心してゐる、犯罪を犯して警察から告訴された朝鮮人はこれまで占領軍当局がその事件を審査するといふ二重の保護をうけてゐた、もちろん起訴は非合法的な闇取引その他の犯罪行為を行つてゐた総ての人々と同様朝鮮人にもなされて来た、最近総司令部が一九四六年十二月十五日以降日本国に留まる朝鮮人は日本市民権を得なければならないといふ命令を発したといふことを新聞が報じてゐるが、これは全く誤報である、占領軍当局は国籍の保持、放棄または選択に関する各国民各自の基本的な権利を妨げようとする意向は全然もつてゐない
◇総司令部は一九四六年十月十六日付で日本政府に対し、以前北緯卅八度以南の朝鮮に居住してゐたものは引揚げ計画に従つて行動することを拒否したものを除き、十二月十五日までに引揚げを完了するやう取計らうべしといふ覚書を発した、引揚げを拒否し、この国に留まることを選んだ朝鮮人は日本に居住を続ける以上総ての正当なる地方的法規に従はなくてはならぬといふことを十分自覚した上で選択をなさねばならない、ただし地方法規の適用を免れさせるやうな在日朝鮮人に有利な差別待遇は治外法権の形を生ずる、これは如何なる見地からしても正当なるものではないし、近年他国にある治外法権を撤廃せんとしてゐる連合諸国の行動からみても連合国の一般政策に反するものである


1946年11月22日読売
在日朝鮮人の地位 残留者の日本国籍入りは誤報 総司令部声明
 【渉外局発表】連合軍総司令部のスポークスマンは廿日次の声明を発表した
在日朝鮮人の地位と取扱ひについて最近一部新聞紙上に現はれた誤解につきこれをはつきりさせる必要がある
 占領当初からはじめは米国の、ついで連合国の決定に従ひ、朝鮮人を解放された人民として取扱ひ、彼らの福祉のために最善を尽すといふのが占領軍当局の政策であつた、かくて政治的理由によつて拘禁されてゐるものを釈放し、事実上奴隷労働者の地位にあつたものを解放するために即時いろいろな措置がとられた、送還計画も樹てられ、今日までに非合法的に日本に再渡来し再送還されたもの一万四千名以上は別として、九十一万九千名が帰国してゐる
現在日本に約六十万人の朝鮮人がゐるがそのうち送還を要望してゐるのはおよそ七万五千人に過ぎない、日本当局は既に朝鮮人にたいしどんな差別待遇もしないことを保証するやうにとの厳重な指令を受けてをり、占領軍当局はこれらの指令が完全に履行されるやうにたえず苦心してゐるのである
 罪を犯して警察当局から告発された朝鮮人はこれまで占領軍当局によつてその事件を再審するといふ特別の保護をうけてゐたもちろん非合法的闇市場その他の犯罪行為を犯した朝鮮人およびその他すべてのものにたいしては告発が行はれて来たのである
一九四六年十二月十五日以降日本に残留する朝鮮人は日本の市民権を取得せねばならぬといふ命令を最近総司令部が発したといふ新聞報道は全然誤りである、占領軍当局は市民権の保持、放棄または選択についてはいづれの国籍のいかなる人間だらうとその基本的権利に容かいする意志は毛頭ない
 一九四六年十月十六日本司令部は日本政府に覚書を交付、既に発表された送還計画に応じなかつた者を除きかつて卅八度線以南に在住してゐた朝鮮人の送還は一九四六年十二月十五日またはそれ以前に完了するやう命令した、送還に応せず日本に在住を希望する朝鮮人は日本残留により日本の一切の法令、取締規則を適用されることを十分承知のうへで善処せねばならない
 日本にあつて日本の法令、取締規則の適用を受けず朝鮮人に有利な差別待遇を与へれば一種の治外法権が生じてくる、これはどんな観点からしても正当ではなく、また最近二、三年間に他国における治外法権制の残存物をすべて廃棄してきた連合各国の措置にかんがみても連合国の一般的政策に反するものである


綿貫響「新聞報道が意図を誤解して伝えたって?」

上原都「もっとも、新聞にしても朝鮮人にしても『日本国籍を有するとみなす』って条文を『日本国籍を保有するものとする』と理解したんでしょうね。この場合は『日本国籍を保有すると仮定して取扱う』と解釈するのが自然だとは考えるけどね」

綿貫響「記事にもあるように、朝鮮に正式な政府が成立して朝鮮国籍を承認するまでの間、無国籍者にするってわけにもいかないしねぇ」

神楽「ややこしくなってるけど、通常の場合の日本在住外国人と同じように、日本の法律に服しろってことだよな」

上原都「ええ。そういうことよ。あくまでも日本国籍保有者と仮定しての取扱いだからね。だから翌年の外国人登録令では外国人とみなしているわよ」

 御名御璽

  昭和二十二年五月二日
  内閣総理大臣 吉田  茂
  内 務 大臣 植原悦二郎

勅令弟二百七号
   外国人登録令
第一条 この勅令は、外国人の入国に関する措置を適切に実施し、且つ、外国人に対する諸般の取扱の適正を期することを目的とする。
第二条 この勅令において外国人とは、日本の国籍を有しない者のうち、左の各号の一に該当する者以外の者をいう。
 一 連合国軍の将兵及び連合同国に附属し又は随伴する者並びにこれらの者の家族
 二 連合国最高司令官の任命又は承認した使節団の構成員及び使用人並びにこれらの者の家族
 三 外国政府の公務を帯びて日本に駐在する者及びこれに随従する者並びにこれらの者の家族

第十一条 台湾人のうち内務大臣の定めるもの及び朝鮮人は、この勅令の適用については、当分の間、これを外国人とみなす。
 この勅令及びこの勅令に基く命令に規定する登録の申請その他の行為は、疾病その他内務大臣の定める自由に因り本人においてこれをすることができないときは、内務大臣の定める者がこれをしなければならない。



綿貫響「誤報・誤解とはいえ『日本国籍取得』に拒否を示したからには、外国人とされて満足したでしょうね」

上原都「そう思うんだけどねぇ…1945年12月の衆議院議員選挙法改正の時点で彼らの日本に対する選挙権は停止されていたから、『日本国籍扱いなのに選挙権がないのは差別だ』とかいう解釈があるのよねぇ」

神楽「?本国に選挙権はないのか?」

上原都「1947年春の時点じゃ大韓民国も朝鮮民主主義人民共和国も成立していないから選挙権どころじゃないわね。さっきも言ったけど、朝鮮に正式な政府が成立して国籍と参政権を付与するまでは、彼らの地位は宙に浮いたかたちになるのよ」

白鳥鈴音「いつくらいに決着したのかな?」

上原都「日本の占領が解除されるサンフランシスコ講和条約が署名された1951年9月8日以降ね。このときには韓国も北朝鮮も成立していたから。あ、条約の発効じたいは1952年4月28日よ」

綿貫響「ただし、西側諸国に属しているのは韓国だから、日本にとっては朝鮮における正式な政府は韓国を指すのね」

1951年10月11日朝日(東京)
在日朝鮮人に韓国々籍
【釜山十日発UP=共同】韓国政府は十日の閣議で在日朝鮮人に韓国の国籍を与え、その人権および財産に保護を与えることに決定した。


神楽「参政権については触れてないな…」

上原都「で、日韓の協議によって基本的な処遇は決定したってわけ」

1951年12月23日朝日(東京)
講和発効時に喪失 在留朝鮮人の日本国籍 日韓会談
在日朝鮮人の国籍問題に関する日韓会談は、国籍、永住権、日本における待遇、引揚げの際携行する荷物と本国送金などの点について原則的に意見の一致を見たので二十二日の会談でひとまず切上げ未解決の細部の点については両国代表がそれゞゝ両国政府と打合せの上、明年一月十日ごろ会談を再開することになった。
 日韓間で原則的に意見が一致したところつぎのとおり。
一、終戦前から日本に引続き在留する朝鮮人は対日講和条約発効と同時に日本国籍を失う。
一、鉱業権など外国人に所有が禁止されているもので在日朝鮮人が既得権をもっている場合の取扱いについては、一般外国人以上の特権は認めないが、実際上の措置としては切換えなどについて一定の猶予期間を認める。
一、本国引揚げのとき携行しうる荷物の量および本国送金額については、輸出貿易管理令などの制限を緩和する。
一、強制退去については出入国管理令に規定された退去条件の適用に当って多少の考慮を加える。
一、在日朝鮮人で在日韓国代表団が協定締結後発行する身分証明書を持っているものは日本永住が認められる。たゞし出入国管理令の退去条件に該当するものは強制退去の対象となりうる。


白鳥鈴音「えーっと、韓国籍の付与と日本国籍の喪失かー」

神楽「在日朝鮮人たちに国籍の選択権は無いんだなぁ」

上原都「そうね。この日本国籍の喪失措置をとらえて日本政府による一方的な国籍の剥奪と解釈する人が多いようだけど、それをいうなら韓国は一方的に国籍を押し付けたことになるわね」

綿貫響「この措置を話し合って決めた当事者は日韓政府双方だもんね。批判するなら双方を批判しなくちゃ片手落ちだわ」

上原都「ま、このあたりは関連する法律等についてももっと調べてみないといけないでしょうね。とりあえずお開きにしましょう」

神楽「ふー。SCAPINを見るだけでもいろいろわかるもんなんだなぁ」

綿貫響「そうね。思想信条に関わらず在日に関する言説にもけっこう怪しそうなのが多いらしいというのもわかってきたしね」

上原都「作者としては、特に日韓の近代史については、歴史の探求ではなく言説の主張のために史料を引用解釈する人が多いということが、ここ最近徐々に実感できてきたようだし」

白鳥鈴音「じゃぁ、あずまんが嫌論文のネタに困らないねっ♪」


今シリーズで使用した史料の時系列一覧表
日時 日本政府 GHQ 長野県警察部(?)/峰山警察署/大阪府
1945年
9月1日
閣議了解:連合国最高司令官の要求に係る一般命令の実施に関する件
警保局保発甲第3号
   
9月6日厚生省発表:朝鮮人の送還について徴用者と集団移入労務者の送還を優先する旨    
9月12日     運業輸二発第20号
一般旅客の取扱停止、朝鮮半島出身の軍人・軍属・徴用者の集団復員輸送を優先
9月15日     半島人労務者送還に関する件
内容的には警保局保発甲第3号とほぼ同じ
9月20日 引揚民事務所設置に関する件:閣甲第438号   引揚民事務所設置に関する件
配布資料か
9月22日     朝鮮人集団移入労務者等の緊急措置の件
京都府興生会発。集団移入労務者へ帰還希望の調査
9月25日     朝鮮人集団移入労務者等の緊急措置の件:峰山警察署受
9月28日     終戦に伴ふ内地在住朝鮮人及台湾人の処遇に関する応急措置の件
朝鮮人・台湾人の送還について興生会が関与すること
10月15日   SCAPIN139 朝鮮人が送還を求めて九州及び南本州の一定地域に入ることを制限管理するための措置を日本政府が開始するよう指令した電話の確認無線電信:朝鮮人の自発的帰国に伴って生じた混乱についての措置を指令
SCAPIN142 引揚送還処理のための地方引揚援護局:在外日本人の引揚・内地在住の非日本人の送還処理について一元的に統御される処理機関を設けるよう指令
 
10月23日 CLO349 朝鮮人の送還:送還の輸送計画    
10月26日 CLO381 朝鮮人の送還:送還の実施には興生会が関与する    
10月30日   SCAPIN213 朝鮮人の日本からの送還:朝鮮人の移動制限措置をとるよう指令。また、送還の全体的な計画は数日中に発せられる  
11月1日   SCAPIN224 非日本人の日本からの送還:朝鮮人・台湾人らの送還計画の概要を提出しろという指令  
11月8日   SCAPIN254 地方引揚援護局:援護局の設置を重ねて指令。下関・朝鮮間を無許可で航行する船舶の制限  
11月15日 中央興生会の解散:これ以降、朝鮮人送還については各自治体が直接関わることに    
11月17日   SCAPIN293 日本における地方引揚援護局:援護局の設置指令。142を改正
SCAPIN295 非日本人の日本からの送還:送還計画の概要。224を廃止
 
11月22日 引揚援護局の設置:勅令第651号    
11月28日 CLO749 非日本人の送還状況:朝鮮人の送還について博多仙崎−釜山間のフェリー輸送状況の報告    
12月3日   SCAPIN383 日本から送還される非日本人の取締:送還者の取締にあらゆる法的手段を用いるよう指令。必要とあらば米軍当局に援助を要請し得ることを記載  
12月9日   SCAPIN410  送還者への供与品、輸送、施設:送還者は日本政府の輸送計画に従って引揚援護局へ移動するときは鉄道運賃を払わなくていいことを規定  
12月26日 移入華人及朝鮮人労務者の取扱に関する件:日本人雇用主が負担した休業手当を国家補償することを考慮    
12月30日   SCAPIN518 朝鮮人送還の中止:朝鮮でゼネスト発生のおそれと、引揚援護局の混雑を理由に送還停止  
1946年
1月3日
  SCAPIN544 朝鮮人送還停止の解除:朝鮮人送還の再開  
1月15日   SCAPIN600 日本からの非日本人の送還:地方引揚援護局に入る朝鮮・台湾・琉球人送還者を増やし、送還船舶を規定送出量の送還者で満たすことを指示  
1月21日 CLO313 朝鮮人が負担した鉄道運賃:朝鮮人の支払った鉄道運賃を本人ではなく朝連に払い戻してよいか、日本人雇用主の負担した運賃はどこに払い戻すかを照会    
1月26日     大阪府知事事務引継書:送還の状況が記載されている
1月31日   SCAPIN685 朝鮮人が負担した鉄道運賃:朝鮮人への鉄道運賃払戻しについてCLO313への回答。法的証明のない限り代理人ではなく個人に対して払い戻す。日本人雇用主の負担した運賃の払戻しについては雇用主と日本政府の問題とする  
2月9日   SCAPIN726 朝鮮人の送還:送還者を朝鮮の目的地別に乗船させるよう指示  
2月11日   SCAPIN729 朝鮮人受刑者の送還:日本にいる朝鮮人服役者は刑期を満了するまで送還しないよう指示  
2月17日   SCAPIN746 朝鮮人、中国人、琉球人及び台湾人の登録:日本在住の朝鮮人等に送還希望の有無を登録する指令をするよう指示  
2月19日   SCAPIN756 刑事裁判件の行使:日本裁判所が連合国の構成員に対して刑事裁判権を行使することを禁止
SCAPIN757 朝鮮人及びその他の国民に言い渡された判決の再審理:日本裁判所がかつて朝鮮人と日本の支配下にあった他国民に対して言い渡した判決の再審理について規定
 
3月13日 朝鮮人、中華民国人、本島人及本籍を北緯三十度以南(口之島を含む)の鹿児島県又は沖縄県に有する者登録令:SCAPIN746に従って内地在住朝鮮人等の送還希望の調査登録    
3月16日   SCAPIN822 送還:朝鮮人等の送還についての基本指令  
3月19日   SCAPIN829 北部朝鮮居住の朝鮮人の日本からの出国停止:北緯38度以北を目的地とする朝鮮人送還者の送還の停止  
3月27日   SCAPIN822/1 送還:822を修正。送還者の持ち帰れる荷物を1人最大250ポンドに規定  
4月4日   SCAPIN912A 鉄道を利用する台湾人及び朝鮮人の取締:日本政府に鉄道を利用する台湾人及び朝鮮人を取締る権限及び責任があることを通知  
4月7日 CLO1616朝鮮人、中国人、台湾人及び琉球人の登録 CLO1617送還を登録した朝鮮人:3月13日の登録令の集計結果報告    
4月9日   SCAPIN872 中国人、台湾人及び朝鮮人の送還:送還完了期日と1日あたりの送出量を規定  
4月13日   SCAPIN876 中国人、台湾人及び朝鮮人の送還:872で規定された送還完了期日を延長、1日あたりの送出量を下方修正  
4月15日   SCAPIN822/3 送還:822、872を修正。送還日程及び送還権利の喪失について追加・修正  
4月22日   SCAPIN892 朝鮮人の送還:876で規定された送出量が達成されていないため送出量をさらに下方修正  
4月30日   SCAPIN1111A 朝鮮人による不法行為:日本政府に朝鮮人の暴力行為を取締る権限があることを通知  
5月7日   SCAPIN927  送還:822に代わり朝鮮人等の送還を統御する基本指令  
5月17日 昭和21年度第2予備金支出要求書朝鮮人送還費:朝鮮人等送還に関する追加予算の要求    
6月上旬     大阪府知事事務引継書:計画送還を希望する大阪在住の朝鮮人数
6月12日 CLO2823 朝鮮人の送還:朝鮮人不法入国者の増加について報告 SCAPIN1015 日本への不法入国の阻止:朝鮮でコレラが発生したため、朝鮮人の不法入国を阻止策を積極的に 進めるよう指示  
6月20日 CLO3005 日本への不法入国の阻止:日本への不法入国を阻止するための沿岸警備計画を提出    
6月24日 厚生省告示第四十七号:朝鮮をコレラ流行地と指定する    
6月27日   SCAPIN1039 朝鮮への送還:朝鮮で洪水が起こったたため、朝鮮人送還の中止を指示  
7月6日 CLO3293 日本への不法入国の阻止の報告:日本への不法入国を阻止するための警備船舶に武器弾薬を要求。旧海軍の船艇の移管を要求    
7月11日   SCAPIN1061 朝鮮への送還:江原道または京畿道方面への送還を直ちに再開するよう指示  
7月13日   SCAPIN927/5 送還:持ち帰れる荷物を1人あたり500ポンドに改定し、許可を受けた場合4000ポンド以内の軽機械・工具を持ち帰れることに  
7月16日   SCAPIN1735A 日本への不法入国の阻止:CLO3293で日本政府が要求した条項について回答  
7月21日   SCAPIN1074 日本へのコレラ流入の阻止:朝鮮の全ての港がコレラ発生もしくはその疑いがあると発表されたため、927による検疫手続を開始するよう指示  
7月27日   SCAPIN1088 朝鮮への送還:博多・仙崎引揚援護局にいる朝鮮人を乗船させて送還するよう指示  
8月8日   SCAPIN1113 朝鮮への送還及び朝鮮からの引揚:1039、1088によって中止されていた朝鮮人送還を再開するよう指示  
8月19日     大阪府予算追加要求:朝鮮人の送還促進、送還者援助の予算の追加要求
9月5日     大阪軍政部からの指令:連合軍大阪軍政部から大阪府知事宛に朝鮮人密入国者の送還を指示
9月10日   SCAPIN927/7 送還:送還完了の期日を1946年11月15日に延長、止むを得ず計画送還に従えない者でも12月31日を期限とする  
9月18日     密入国朝鮮人送還実施要領:大阪府警部長から府下の各警察へ朝鮮人密入国者の取締・収容・送還の実施要領を通達
居住証明書発給手続:密入国者摘発のため、正規居住者朝鮮人に居住証明を発給する計画
9月26日   SCAPIN1230 朝鮮への送還:朝鮮で鉄道ストが起こったため、朝鮮人・不法入国者の送還を中止するよう指示  
9月30日   SCAPIN1239 朝鮮人連盟が発行する鉄道旅行乗車券の禁止:各種朝鮮人団体の発行する国鉄無料乗車券を拒否、没収破棄するよう運輸省に指示  
10月2日     密入国朝鮮人臨時収容所費:大阪府教育民生部長から内務部長へ朝鮮人密入国者の収容所についての追加予算要求
10月3日     密入国朝鮮人送還警備費:大阪府警部長から内務部長へ朝鮮人密入国者の取締・収容・送還についての追加予算要求
10月30日   SCAPIN927/9 送還:4000ポンドを超過する軽機械・事業備品であっても許可を受ければ持ち帰れることに  
11月5日   SCAPIN927/10 送還:送還完了の期日を1946年12月15日に延長。止むを得ず計画送還に従えない者の送還期限の規定を廃止  
11月30日     府令109号 朝鮮人登録に関する件:大阪府下居住の朝鮮人に対して密航者との区別のための居住登録令を公布、翌12月1日より登録を実施
12月10日   SCAPIN1391 日本への不法入国の阻止:コレラ流入を防ぐため朝鮮からの不法入国を取り締まるよう指示  
12月16日   SCAPIN1407 日本からの集団送還の終了:北緯38度以南の朝鮮への朝鮮人の集団送還は12月15日に終了することを通知  
12月19日   SCAPIN1414 日本からの集団送還の終了:北緯38度以南の朝鮮への朝鮮人の集団送還は12月15日に終了した旨通知。やむを得ずその送還に従えなかった者を12月28日までに送還するよう指示  
12月23日   SCAPIN1421 ソビエト及びソビエト支配下地域からの日本人引揚、及び日本から北緯38度以北の朝鮮への朝鮮人送還:連合軍最高司令官と対日理事会ソビエト代表との間に表題についての協定を締結したため、その実行を指示
SCAPIN1391/1 日本への不法入国の阻止:1391を修正。朝鮮人不法入国者の送還に際して携行品を制限するよう指示
 
12月30日 CLO7029 朝鮮人送還の報告:送還特典を喪失していない朝鮮人についての報告    
1947年
1月8日
  SCAPIN1445 北緯38度以南の朝鮮への送還権を喪失していない朝鮮人の送還:前回計画送還に従えなかったのは不可抗力であることを証明し、該当者の個々が行なう送還希望の妥当性を調査・再検討するよう指示  
2月6日   SCAPIN1509 北緯38度以南の朝鮮への送還特典を喪失していない朝鮮人の送還:1月31日以降日本に残留し、最も早い時期に送還可能な南朝鮮人に関する報告の提出を指示  
2月下旬
から
3月上旬
    三国人情勢:大阪府下の朝鮮人・中国人・台湾人の動静、送還状況についての報告
3月4日   SCAPIN1553 日本から北緯38度以北の朝鮮への朝鮮人の送還:北緯38度以北の朝鮮への送還終了を記載  
4月22日   SCAPIN1622 警察警備艇として特務駆潜艇及び特務哨戒艇の使用:不法入国阻止のために、旧海軍の特務駆潜艇28隻と特務哨戒艇10隻を運輸省海運局に貸与  
5月15日   SCAPIN1680 1421に基づく北緯38度以北の朝鮮への最後の送還であることを通告  
6月16日   SCAPIN1734 日本から北緯38度以北の朝鮮への朝鮮人の送還:1680で言及された当該朝鮮人の送還に「信洋丸」を指定  
7月16日   SCAPIN927/16 送還:北緯38度以北の朝鮮への送還終了を記載  
1949年
1月18日
  SCAPIN1966 個人の日本入国及び出国時に携行を許可される財産:韓国人送還者の荷物重量規制を撤廃、一人あたりの持ち出せる金額の上限を100,000円に改定  
1950年
11月9日
  SCAPIN2130 非日本人の送還:非日本人の自発的帰国について日本政府の責任を解除し、これ以降は個人の責任で行なうことを指示  

上原都「なんとか終了♪」


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